[第61回] 労働力減少が始まる中国 市場重視し生産性向上を 蔡昉 Cai Fang 中国社会科学院人口・労働経済研究所長 中国の働き手が2013年に減り始める。人件費も物価も長期的に上昇するだろう。先進国への脱皮を前に高齢化に直面する「未富先老」を乗り越え、どう成長を持続するか。社会保障の充実と労働生産性の向上がかぎになる。 ツァイ・ファン 氏 中国では30年間の「一人っ子政策」で子供の割合が減り、高齢者が増えている。中国政府が2010年に実施した人口センサス(国勢調査)によれば、65歳以上の人口は8.9%に達し、前回調査した00年より約2%幅上昇した。一方で0~14歳の子供の割合は16.6%で、6.3%幅減った。 調査を実施した国家統計局は、15~59歳の生産年齢人口は13年以降、減り始めると予測した。20年ぐらいまでは9億人規模を維持できるが、それ以降は減り方のスピードが上がるという