中国が、資本の「純輸出国」に転じる経済戦を着々と進めている。これまで30年以上にわり、海外から資本を呼び込むことで経済成長してきた中国が資本の純輸出国へと転じることは、世界経済に強烈なインパクトを与える。米国や日本、香港や台湾、東南アジアの不動産物件を高値で買いあさるチャイナマネーの跋扈(ばっこ)が予想されるほか、欧米や日本企業を買収する動きも加速しそうだ。 「成長スピード」より「構造改革」 中国は北京で3月に開いた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、高度経済成長から安定的な成長段階へのシフトダウンを意味する「新常態(ニューノーマル)」の時代に入ったことを確認した。成長率の目標を前年までの年率7.5%前後から7%前後に引き下げることが表明されたが、実は成長スピードよりも経済構造の改革こそを重要なテーマとしている。 「走出去」と呼ばれる海外に向かう直接投資の実行額が、これまで中国経済を