東京パラリンピックは五年後の八月二十五日に開幕する。厳しい残暑も予想されるが、車いすを使う選手の中には首の骨の中の神経、頸(けい)髄の損傷などで体温調節機能を失い、発汗のできない人が少なくない。選手らは「開催日程を遅らせられないか」「屋外競技は命懸けになる」と切実。同様の障害のある観客のケアも必要で、根本的な暑さ対策を望む声が強い。 (杉戸祐子、北爪三記) 弓に矢をつがえて引きながら、視界が白く薄れていく感覚に襲われた。七月中旬、炎天下のさいたま市で開かれたアーチェリーの大会。上肢にも障害のある車いす選手が出場するW1クラスの日本代表、斎藤紳一さん(54)=千葉県松戸市=は、熱中症のような状態に陥って途中棄権した。