前回までの「シミュレーション仮説」では世界全体がシミュレーション世界である可能性を検討した。 今回はその類似の可能性として、人間に的を絞った「スワンプマン仮説」「生体転送仮説」「精神転送仮説」「記憶転送仮説」について考察してみたい。 * * * スワンプマンの「スワンプ」は英語の "swamp" で「沼」を意味する。 スワンプマン(沼男)仮説はおおよそ以下のようなものだ(若干アレンジあり)。 ひとりの男が沼の淵を歩いていると雷が落ち、男は死亡し、遺体は沼に落ちて消えてしまう。 ほぼ同時にもうひとつの雷が沼に落ち、沼の養分と反応して死んだ男と寸分違わぬ構造を持つスワンプマンを沼の畔に生み出してしまう。 スワンプマンの身体は分子・原子・素粒子レベルまで死んだ男とまったく同一だ。 脳の構造まで同じであるため同じ記憶・同じ知識を持ち、スワンプマンは何事も起こらなかったかのように歩き出し、沼から遠ざ