つい最近、衝撃的な事実が明らかになった。 ロシアの翼賛的な愛国詩人だと思われていたゲンナジー・ラキーチンなる男が、じつは、正反対の立場、つまり反戦の活動家グループによって考案された架空の人物で、しかも、ラキーチン作と見なされていた「Z詩」(ロシアのプロパガンダ詩)が、1930〜40年代に書かれたナチ・ドイツの愛国詩をロシア語に翻訳したものだったというのである。 ラキーチンは、モスクワ大学文学部を卒業した49歳の教師という触れこみで、2023年7月よりロシアのSNSに詩を発表しはじめた。ただし、詩の作者が誰なのかについては言及しなかった。内容は、戦意高揚、自国礼賛、指導者崇拝など。翻訳に際しては原文の「ドイツ」を「ロシア」に変えるなど、最低限の変更しかしていないという。中には、ナチ映画の中で最も反ユダヤ的だといういわく付きの映画「ユダヤ人ズュース」の脚本を手がけたエーベルハルト・メラー(19