猫に関するonboumaruのブックマーク (7)

  • 丸山遊郭 猫の食いさし | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 肥州長崎は唐船着岸の津にございます。 綾羅錦繍の織物に金銀の糸、薬種にその他もろもろの品。 種々の珍貨が絶えることなく我が朝へ入ってくる。 その玄関口でございまして。 日六十余州のあきんどが当地へ来たりて商売をする。 その賑わいぶりは、難波を凌ぎ京にも劣らずト称されるほど。 かの地には丸山ト申す遊郭がございますナ。 唐人、紅毛人の気を引こうト、着飾った女郎たちがひしめいている。 いにしえの江口、神崎ナドもかくやト思わせる華やかさで。 もっとも、光が差せば影が従い、陽気が興れば陰気が篭もります。 裏路地へ一歩踏み入るト、表のきらびやかさトハもう別世界。 揚荷抜きの小悪党、行き場を失った年増女郎。 いはぐれたドラに、汚物にまみれたドブネズミ。 夜ともなれば、魑魅魍魎が跋扈するとかしないとか。 さて、この丸山遊郭の一角に、枡屋ト申す女郎屋がございまして。 ここに左馬

    丸山遊郭 猫の食いさし | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2017/09/10
    「新御伽婢子」より
  • 猫塚鼠塚 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 森森たる木曽の山道、その夕暮れの景。 三十がらみの無口な猟師が一人。 その担え銃にぶら下がるように後を追う童が一人。 そして、その胸に抱かれた三毛が一匹。 二人の親子と一匹のが。 黙って山を下っておりましたが。 「父ちゃん」 「何だ」 「三毛が眠ったようだよ」 「飯をって眠くなったんだろう」 「おら、腹が減った」 「待っていろ。そのうち里に出るはずだ」 が黙っていたのは眠気のため。 親子の場合は疲れと空腹のためでございました。 やがて父の言葉通り、里が見えてくる。 ト、親子の者を見かけて、こちらへ声を掛けてきた村人がある。 「旅のお方かね」 「いや、山向こうの村の者だ」 「へえ。それがどうして」 「獲物を追っていて、日が暮れた。子連れで帰るには遅いから、宿を借りたい」 「それなら、お堂へ泊まるが良い。村の者で夜具やい物を持ち寄ってやるから」 愛想の良さとは

    猫塚鼠塚 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2017/07/08
    岐阜の民話より
  • 猫又屋敷 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 昔、周防国に大きな店構えの商家がございまして。 長年、一匹のが住み着いておりましたが。 この家のお内儀(かみ)が、質(たち)の悪い女でございまして。 いつも、このいじめておりました。 嫌いなのかといえば、そうではない。 勝手に住み着いたを、もう五年も飼っている。 朝昼二度の餌もしっかり与えます。 それでは大事にしているのかといえば、そうでもない。 見かけるたびに外へ放り投げたり、蹴飛ばしたり。 酷い時には、焼け火箸で頭を叩いたり。 生かさず殺さず、何かのはけ口にしているとしか思えない。 の方でこの家を出ていかないのにはわけがありまして。 何も、ネズミがたくさんいるからというのではございません。 この家の女中が、を哀れに思っておりまして。 いつも優しく接してくれるからでございました。 そのが、ある日ふっと姿を消しました。 勝手口の脇には、いつもはすぐ空

    猫又屋敷 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/10/25
    各地に伝わる化け猫伝説より
  • 踊る猫 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 ある山奥に、貧相な荒れ寺がございました。 住職は腰の曲がったヨボヨボの爺さんで。 もうこの年では気力も体力もございませんので。 昼夜なくうとうとトばかりしております。 これではあまりに頼りがないト。 檀家にも一軒二軒と逃げられまして。 檀家がなければ、寺はえません。 明日の身も知れぬ貧乏寺と成り果てておりました。 ここに、この山寺から唯一逃げ出さなかったものがございまして。 名をトラと申す、これまた年老いたが一匹、住み着いておりましたが。 やはり気力や体力の衰えからでございましょうか。 和尚同様、日がな一日、居眠りばかりして暮らしておりました。 和尚にとっても、長年の相棒でございますが。 近頃、悩みができましたのは。 寺がえなければ、和尚もえぬ。 和尚がえなければ、わせることもできません。 かと言って、そこらに捨てるわけにもいかない。 和尚は悩みに悩

    踊る猫 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/09/05
    民話「猫檀家」より
  • 猫定 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 両国の回向院に塚トいうものがございます。 が死にますト、飼い主が回向料とともに、の亡骸を持ち込みまして。 寺の僧侶がお経を読んで、を葬ってくれるという。 これは、この塚に最初に入ったというの話でございます。 八丁堀の玉子屋新道に、魚屋を営む定吉ト申す者がございました。 もっとも、魚屋とは名ばかりで、その実は博奕打ちでございます。 毎日を遊んで暮らしている。 この日も、朝湯の帰りに馴染みの三河屋という居酒屋に立ち寄りまして。 風呂あがりの一杯とばかりに、呑気に引っ掛けておりますト。 ポカッ、ポカッと、頭の上から妙な音が聞こえてくる。 博奕打ちというのは、我々とはものの考え方が異なっているようで。 ――板に何かを叩きつける音がする。 なるほど、やってやがるな―― ト、てっきり丁半博打の壺を伏せる音と勘違いいたしまして。 「おい、六さん」 店の者を呼びつけます。

    猫定 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/07/13
    落語「猫定」より
  • 民話の怖い話より 「猫と南瓜」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 あるところに夫婦がございました。 長年、子宝に恵まれず、寂しく思っておりますうちに。 女房もそれなりの年になり、もう諦めようということになりまして。 二人はあれこれ考えた末、何か動物を飼うことにいたしました。 ちょうどその折、畑に一匹の子が迷い込みました。 生まれたばかりらしく、目がまだ塞がっております。 ミャーミャーと乳を求めて鳴く声が不憫に思えまして。 夫婦は、このを我が子と思って育てることに決めました。 村は漁村から近い。 毎日漁師が魚と野菜を交換しにやってくる。 毎朝の事は魚でございます。 を育てるにはもってこいの境涯で。 女房は自分の魚を毎日、半分ずつ分けてやる。 も喜んでそれをべてどんどん大きくなる。 にゃーと鳴かれると可愛いですから、欲しがるものは何でもやる。 一年もした頃には、でっぷり太った大になった。 その年の秋の初めのこと。 村に六

    民話の怖い話より 「猫と南瓜」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/07/11
    民話の怖い話より
  • 鍛冶屋の婆 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 昔、ある旅の商人が、隠岐国の山を越している途中で日が暮れてしまいました。 それでも山の頂上まで上っていきますト、大きな松の木がございました。 身の丈より高いところに、大きな股がある。 商人はよじ登って、そこに横たわり眠ることにいたしました。 夜更け。 商人がぐっすり眠っておりますト。 何やら木の下の方から物音がする。 商人は目を覚まして驚いた。 ナント、山がざっと数十匹、木の周りを取り囲んでいる。 鋭く夜目を光らせて、こちらを狙い、うなっている。 いつ飛びかかってくるのではないかと、商人は気が気でない。 とは言え、こう取り囲まれては出来ることなどございません。 ただ、立ち去ってくれるのを待ちながら、そのうなり声に耳を傾けている。 ト、そのうちに商人はとんでもないことに気がついた。 山たちはただうなっているのではない。 口々に人語をつぶやいているのでございます。

    鍛冶屋の婆 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/07/05
    隠岐の民話より
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