2017年2月15日のブックマーク (2件)

  • 三尺の翁が顔を撫でる | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 平安の昔の話でございます。 ただいま、徳川様の二条城が鎮座する地には。 もと、冷泉院(れいぜいいん)ト申す後院がございました。 後院ト申すは、上皇の御所でございます。 つまり、天皇の地位を退いた後の、終の棲家でございますナ。 さて、この冷泉院でございますが。 もともとは名を冷然院ト申しました。 ところが、度重なる火災のために。 何度も消失いたしましたので。 「然」が「燃」に通じるトして。 「泉」の字に改めたのでございます。 この冷泉院には、文字通りト申しましょうか。 泉ならぬ池がございました。 延喜年間に京の町の井戸が枯れました際には。 院を開け放ち、この池の水を誰にでも自由に汲ませたという。 陽成上皇がお隠れになった後。 この冷泉院の寝殿は、一条へ移されまして。 跡地はすべて町家となる。 池の周りにも人が住むようになりました。 さて、ある夏の夕暮れ時でございます。

    三尺の翁が顔を撫でる | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
    onboumaru
    onboumaru 2017/02/15
    「今昔物語集」より
  • 班女と梅若丸 隅田川 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 両国の地名にも表れております通り。 古来、隅田川は武蔵下総の国境いを成してまいりました。 この川を越えれば、その先はもう奥地でございますので。 都人から見れば、相当の辺境であったろうことは間違いない。 昔、在原業平ト申す都の風流人がございまして。 何の因果か、東国の地へはるばるやって来たことがございます。 泊まりを重ねてこの隅田川へ差し掛かった時に。 見たことのない鳥が飛んでいるので、ふと興味を覚えるト。 「あれは都鳥と申す鳥でございます」 ト、渡し守が答えたのを受けて。 ――名にし負はば いざ言問はむ 都鳥 我が思ふ人は 有りや無しやと (都を名乗るのならあの鳥に尋ねてみよう。私の想い人は無事に暮らしているのかと) 左様な歌をつい詠んだのも、都人には東国行が。 それだけ侘しさを催すものであったからでございましょう。 さて、とある春の閑日でございます。 風がのどかに

    班女と梅若丸 隅田川 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
    onboumaru
    onboumaru 2017/02/15
    謡曲「隅田川」より