【サマリー】 ◆日本の財政赤字は先進国の中でもギリシャに次いで最悪であるが、国ごとに財政の状況は異なっている。 ◆その理由を、不況に対して財政金融政策をどう用いているかという観点から分析した。一般的に言えば、不況に対して、財政政策よりも金融政策を使っている国の方が、財政赤字が小さくなるはずである。先進17か国についてこの関係を調べたところ、一概には言えないが、財政政策よりも金融政策を用いた国の方が、財政赤字が小さいという傾向が認められた。 ◆さらに、日本は不況に対して財政政策を使っているのにもかかわらず先進国の中でもっとも景気変動が大きい国であること、日本の金融政策が先進国の中で消極的であることも分かった。
宮城県石巻市は江戸時代から仙台藩62万石の貿易拠点として、また北上川から太平洋への乗換港として発展した街である。中州を挟んだ北上川の両岸には南部藩はじめ北上川流域諸藩の蔵屋敷が並んでいた。地図をみると福岡の中洲、大阪の中ノ島、パリのシテ島、NYのマンハッタンと似た地形である。旧市街地は主に北上川の西岸に広がり、川に並走する道に沿って街割された。山を背に、前面には北上川を向いていた。 明治になってからも水上交通の拠点であることに変わりなく、人や物資が行き交っていた。中州を挟んだ北上川の両岸には内海橋が架かり、これに続く通りは「橋通り」と呼ばれた。橋通りと、これに交差する北上川から一筋奥の通りが当時のメインストリートで、警察署や銀行本店が軒を並べた。昭和30年には丸光百貨店が開店した。北上川沿岸の汽船の発着場や河口にあった魚市場から立寄りやすく人の往来が多かった。 街に最初の変化があったのは昭
10年国債利回りと実質GDP増加率が互いに絡みつくような軌跡を辿るいっぽうで、総資本事業利益率は10年国債利回りの上方に若干の幅を保っている。「総資本事業利益率」はバランスシート上の総資産から現金預金と売掛・買掛資産を控除したものに対する利払前経常利益の比率であり、企業の事業投資利回りを表している。国債はリスクなしの投資とみなされるので、総資本事業利益率と10年国債利回りとの乖離幅は事業リスクのあるなしを示していると考えられる。金融機関の長期貸付利率は国債利回りと事業利益率の間にある。つまり、貸付利息の本質は企業が生み出す利潤の上澄みである。まとまった資金を10年国債利回りで仕入れ、企業に貸出し、事業利回りを獲得した企業から分け前をいただくというのが金融機関の運用側に属する収益構造である(※2)。
菅内閣総理大臣が、所信表明演説で『第三の道』による経済建て直しを宣言した。『第三の道』とは、「経済社会が抱える課題の解決を新たな需要や雇用創出のきっかけとし、それを成長につなげようとする政策」とされ、「新成長戦略」では、その1分野として「医療・介護・健康関連産業の需要に見合った産業育成と雇用の創出」があげられている。急速に高齢化が進む我が国では、高齢者向けの医療・介護サービスの潜在需要が伸びていくことは確実なため、日本経済を牽引する成長産業に育つと期待されているのだろう。しかしながら、この期待は外れる公算が大きい。
【サマリー】 ◆財政赤字の指標としては、公債残高の累積額の増分を見るのが適切と考えられる。 ◆この指標で内閣ごとの財政状況を見ると、海部内閣では安定していたが、その後拡大し、小渕内閣で急拡大し、それが小泉内閣の前半まで続いていた。だが、小泉内閣の後半から安定に向かい、後継の内閣でもその傾向が続いた。しかし、麻生内閣で急拡大し、それが今も続いている。 ◆以上のことから、財政再建と政治家のスタンスにはあまり関係がないようである。橋本内閣は財政再建を主張していたが、景気悪化で挫折した。小泉内閣は公共事業を抑制した。そうするうちに、景気が回復して財政が好転した。財政再建のためには、長期の政府支出コントロールと景気の持続が重要だ。
地方自治体のメインバンクたる財務省は、貸出先である地方自治体の財務内容を毎年精査し、何らかの懸念がある先を抽出してヒアリングを実施している。貸出返済の確実性を担保するために行うもので、状況次第で融資審査が厳しくなるというものである。今年からその結果を「診断表」にまとめてヒアリング先に渡すことになるようだ。 「財務省、市町村に財政カルテ…融資の判断にも」 平成22年4月16日 読売新聞 「カルテ」とは的を射た喩えだ。自治体財政を診断するのも医者が行う患者の診断と本質的には同じ行為だからだ。財務状況ヒアリングは定期健診で生活習慣病を見つけることに喩えられよう。まず検査数値をスクリーニングして正常範囲にないものを洗い出す。要再検の先には腰を落ち着けヒアリングをする。ここで候補に上ったいくつかの病名を精密検査で検証した後に確定診断にいたる。こうした診断手続きの底流には仮説と検証からなる問題解決手法
大企業などから新しい事業を創出する手法として「スピンオフ」が注目されている。一般に、親元企業との良好な関係を維持しながら自律的な意志決定が行えるような形で独立した会社をスピンオフ企業(またはスピンオフベンチャー)と呼ぶ。関連分野の研究者などの間では、親会社に従属する「子会社」や親会社との関係が途絶えている「スピンアウト」などと区別して議論されることが多い。 名称が一般的に使われるようになったのは最近だが、手法自体は決して新しくない。1935年に富士電機から分離した富士通や37年に豊田自動織機から独立したトヨタ自動車は、スピンオフから親会社をしのぐ世界的な企業になった成功事例である。90年代以降でも、日本電信電話から分離したNTTドコモやソフトバンクが設立したヤフーなどは業界をリードする大企業に成長している。 スピンオフを組織的に支援する仕組みを設けている大手企業も増えてきた。大企業の約4割
Strategy and Economic Report 2010 年 6 月 16 日 全 18 頁 MARKET VIEW 2010/6/16 チーフ為替ストラテジスト 亀岡 裕次 【コラム】 日本の財政の現状 …2 【為 替】 さらなるユーロ安は限定的か …9 <コラム> 最近のギリシャ財政危機に関連して、南欧諸国ばかりでなく、その他の主要国における財政状況 についても関心が高まってきている。日本も例外でない。それどころか、最近の日本の財政状況 は先進諸国の中で最悪であることが一般にも広く知られるようになり、財政再建に向けた(消費 税の引き上げを中心とした)増税論議も違和感なく受け止められるようになってきた。日本の場 合、問題は、政府支出の過大にあるというより、収入、特に、税収の不足にある。消費税の大幅 引き上げが必要だろう。これまで、日本は財政危機を免れてきたが、経常収
【サマリー】 <コラム>大和総研 顧問 田谷禎三 ◆最近のギリシャ財政危機に関連して、南欧諸国ばかりでなく、その他の主要国における財政状況についても関心が高まってきている。日本も例外でない。それどころか、最近の日本の財政状況は先進諸国の中で最悪であることが一般にも広く知られるようになり、財政再建に向けた(消費税の引き上げを中心とした)増税論議も違和感なく受け止められるようになってきた。日本の場合、問題は、政府支出の過大にあるというより、収入、特に、税収の不足にある。消費税の大幅引き上げが必要だろう。これまで、日本は財政危機を免れてきたが、経常収支の赤字化の可能性や、家計・企業部門の貯蓄超過状況の変化を考えると、残された時間は多くないかもしれない。 <為替>チーフ為替ストラテジスト 亀岡 裕次 ◆ユーロ安(ドル高)がさらに進行して、購買力平価水準を大きく下回るような状況になる可能性は低いだろ
【サマリー】 ◆株価下落局面において、下値を買う主体として、個人が筆頭に挙げられるが、信託銀行の買い越し幅も目立つ。この「信託銀行」には、年金勢やゆうちょ銀行、かんぽ生命などの主体が含まれる。 ◆2010年度のGPIFは、少なくとも大幅な買い越し主体になり得ないと見られるが、「リーマン・ショック」後の株式市場で、存在感を示した年金勢はGPIFだけではなかったように、GPIF以外の年金勢の動きも注目したい。 ◆可能性としては、半年程度前と比較した株価騰落率が年金勢の売買に影響し、信託銀行の売買のトレンドを作っていると考えられる。2010年度については、かんぽ生命の買いが増える可能性もあろう。 PDFファイルで公開いたします。なお、PDFファイルをご覧頂くためには、 「Get Adobe Reader」 のボタンをクリックして、「Adobe Reader」をダウンロードしてください。
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