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ブックマーク / voxwatcher.blogspot.com (15)

  • Jonathan Portes 「『ケインジアン』ってどういう意味?」

    Jonathan Portes, “Fiscal policy: What does ‘Keynesian’ mean?”(VOX, February 7, 2012) 「ケインジアン」という言葉には一体どのような意味が込められているのだろうか? 経済学のその他の用語と同様に、「ケインジアン」という言葉も政争の具とされている感を強く受ける。そのために政策論争が不毛なものとなり、その結果として何百万もの雇用がいたずらに失われる羽目になっているのだ。 少しばかり私自身の個人的な経歴に触れさせてもらうが、1987年にイギリスの大蔵省で職を得た後、私は経済学を学ぶために一時的にプリンストン大学の門を叩いた。そこではロゴフ(Kenneth Rogoff)やキャンベル(John Campbell)から教えを受けたが、その後は再びイギリスに戻り、2008年に金融危機が勃発した際には内閣府で首相に経済政策

  • The Economist 「メディア・バイアスの経済学 ~ニュースにバイアスが生じるワケ~」

    The Economist, “A biased market”(October 30, 2008) ニュースに散見される歪み(バイアス)はメディア界が機能不全に陥っているサインだと見なされる傾向にあるが、実際のところは健全な競争が働いているサインであるのかもしれない。 つい最近のことだが、バラク・オバマ(Barack Obama)がニューヨーク・タイムズ・マガジンのライターに対して次のように語っている。仮にフォックス・ニュース-右翼系のテレビ局-が存在しなければ、来る大統領選での私の得票率は2~3%ポイントくらい上昇することになるかもしれない、と。一方で、共和党の副大統領候補であるサラ・ペイリン(Sarah Palin)もここぞとばかりに「リベラルなメディア」が抱えるバイアスを取り上げてそれに激しい口撃を加えている。メディアの偏向報道を問題視する様はすっかりアメリカ政治に定着した感がある

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2014/09/13
    2013年3月7日木曜日
  • Nicholas Crafts 「イギリス経済は『流動性の罠』からいかにして抜け出したのか ~1930年代のイギリスの経験に学ぶ~」

    Nicholas Crafts 「イギリス経済は『流動性の罠』からいかにして抜け出したのか ~1930年代のイギリスの経験に学ぶ~」 Nicholas Crafts, “Escaping liquidity traps: Lessons from the UK’s 1930s escape”(VOX, May 12, 2013) 1930年代にイギリス経済は「流動性の罠」に陥ったものの、そこから無事に抜け出して力強い景気回復を経験することになった。イギリス経済が力強い景気回復を成し遂げた背後には一体どのような要因が控えていたのであろうか? 論説では、イングランド銀行ではなくイギリス財務省(大蔵省)によって主導された「非伝統的な」(‘unconventional’)金融政策こそが当時の景気回復を牽引した要因であった、との主張を展開する。当時財務相を務めていたネヴィル・チェンバレンは「アベノ

    Nicholas Crafts 「イギリス経済は『流動性の罠』からいかにして抜け出したのか ~1930年代のイギリスの経験に学ぶ~」
  • Benjamin Mandel and Geoffrey Barnes 「予想インフレ率を測る新たな指標 ~日本の予想インフレ率の動きを辿る~」

    Benjamin Mandel and Geoffrey Barnes 「予想インフレ率を測る新たな指標 ~日の予想インフレ率の動きを辿る~」 Benjamin R. Mandel and Geoffrey Barnes, “Japanese Inflation Expectations, Revisited”(Liberty Street Economics, April 22, 2013) 金融政策がその仕事を果たしている(成功している)かどうかを測る重要な指標の一つは、インフレ期待を安定化させる(インフレ期待にアンカーを与える)中央銀行の能力である。なぜなら、インフレ期待は実際のインフレの動向に影響を及ぼすからであり、それゆえ(中央銀行に課せられた)インフレ目標が達成されるかどうかを左右することになるからである。このことは特に日経済に関して重要な意味合いを持っている。日では19

    Benjamin Mandel and Geoffrey Barnes 「予想インフレ率を測る新たな指標 ~日本の予想インフレ率の動きを辿る~」
  • Gregory Mankiw 「金融政策の分権化に向けて」

    Gregory Mankiw, “How to Decentralize Monetary Policy”(Greg Mankiw's Blog, July 21, 2006) 日のウォール・ストリート・ジャーナルが次のように伝えている。 FOMCの議事要旨によると、先月Fedが政策金利を引き上げた理由の一部は、マーケットが政策金利の引き上げを予想していたからであるようだ。Fedの政策当局者たちは、(マーケットが政策金利の引き上げを予想しているにもかかわらず;訳者挿入)もしも政策金利を引き上げなければ、Fedのインフレファイターとしての信頼性が損なわれる恐れがある、と考えていたようである。 Fedのこのような反応を軟弱(wimpy)だと捉える向きもあるだろう。Fedがリーダーシップをとってマーケットを先導しているというのではなく、Fedはマーケットの欲するように行動しているというわけだか

  • Daniel Leigh 「目標インフレ率は4%に引き上げられるべきか?」

    Daniel Leigh, “A 4% inflation target?”(VOX, March 9, 2010) 深刻な不況期に名目金利の引き下げ余地をできるだけ確保するためにも、中央銀行は4%のインフレ率を目標にすべきだとの提言をIMFのチーフエコノミストであるオリヴィエ・ブランシャール(Olivier Blanchard)が行っている。まさにその通りだ。日銀行が4%のインフレ率を目標に掲げていたとしたら、日経済が “失われた10年”(“Lost Decade”)の間に喪失することになった産出量の規模を半分に抑えることができていた可能性があるのだ。 金融政策は何よりも先に低インフレ――例えば、1~2%程度のインフレ率――の達成を心掛けるべきだというのが、セントラルバンカーの世界における通念(conventional wisdom)となっている。例えば、1996年に世界中のセントラ

    Daniel Leigh 「目標インフレ率は4%に引き上げられるべきか?」
  • Barry Eichengreen and Douglas Irwin 「保護主義の誘惑:大恐慌の教訓」

    Barry Eichengreen and Douglas Irwin, “The protectionist temptation: Lessons from the Great Depression for today”(VOX, March 17, 2009) 大恐慌(Great Depression)下における保護主義の蔓延について、一体何がわかっているのだろうか? 保護主義に彩られた大恐慌は、経済危機下にある現状に対してどのような示唆を投げかけているのだろうか? 稿では、大恐慌の経験から以下のような教訓を引き出している。すなわち、各国は、互いに財政・金融政策のコーディネーションを図るべきであり、もしそのコーディネーションがうまくいかないようであれば、通商(貿易)政策の面で1930年代のように最悪の結果がもたらされかねない。 1930年代の大恐慌期には、保護主義が急速に台頭するこ

    Barry Eichengreen and Douglas Irwin 「保護主義の誘惑:大恐慌の教訓」
  • 「ケインズ経済学に対する新たなる基礎づけ;ジョージ・アカロフへのインタビュー」

    “The New Case for Keynesianism;Interview with George Akerlof(pdf)”(Challenge, vol. 50, no. 4, July/August 2007, pp. 5–16) 現在主流の経済学で広く受け入れられている諸前提に挑むのはノーベル経済学賞受賞者でもあるジョージ・アカロフ。市場参加者の意思決定(なぜそのような意思決定を行うのか、意思決定はどのように行われるのか)に関してもっと現実的な見方に立てば、ケインジアンの信念が無理のないかたちで正当化されることが判明するだろう。政府による政策は経済を運営する上で決定的な役割を果たす。政府による政策を欠いた状態では、我々は一層大きなリスクに直面することになり、おそらくは経済成長は鈍化することになるだろう。 インタビュワー;アカロフ教授、この冬(訳注;2006年の冬)にあなたがア

  • Gregory Mankiw 「ニューケインジアンの経済学」

    N. Gregory Mankiw, “New Keynesian Economics”(The Concise Encyclopedia of Economics, Library of Economics and Liberty) ニューケインジアンのマクロ経済学(New Keynesian economics)は、ジョン・メイナード・ケインズの思想を引き継ぐ現代マクロ経済学の一学派である。ケインズは1930年代に『雇用、利子および貨幣の一般理論』を出版したが、ケインズの影響力は、1960年代を通じて、経済学者や政策当局者の間で高まっていくことになった。しかしながら、1970年代に入ると、R. ルーカスやT. サージェント、R. バローらを代表とする新しい古典派(New Classical)のマクロ経済学者が、ケインズ革命がもたらした多くの教訓に疑問を投げかけることになった。1980年

  • Bennett McCallum 「マネタリズムの経済学」

    Bennett T. McCallum, “Monetarism”(The Concise Encyclopedia of Economics, Library of Economics and Liberty) マネタリズム(Monetarism)はマクロ経済学の一学派であり、以下の4点を強調する特徴がある。 (1)長期的な貨幣の中立性 (2)短期的な貨幣の非中立性 (3)名目利子率と実質利子率の区別 (4)政策分析における貨幣集計量(monetary aggregates)の役割の強調 代表的なマネタリストとしては、ミルトン・フリードマン(Milton Friedman)、アンナ・シュワルツ(Anna Schwartz)、カール・ブルナー(Karl Brunner)、アラン・メルツァー(Allan Meltzer)がいる。アメリカ以外の国でマネタリズムの初期の発展に貢献した経済学者とし

  • VOXを訳す!

    世界中のワイン愛好家の間では、テロワール(ブドウの生育環境)の細部について語らうのが楽しみの一つになっている。サン・テステフ村とポイヤック村を比べると、ワイン用のブドウを栽培するのが難しいのはサン・テステフ村の方というのが目利きたちの間で一致した意見だ。その理由は、サン・テステフ村の土壌の方が重みも厚みもあるから・・・ですよね? そんなのは戯言(たわごと)だ!・・・と語るのは、オリヴィエ・ジャーゴウ(Olivier Gergaud)&ヴィクター・ギンスバーフ(Victor Ginsburgh)の二人だ。エコノミック・ジャーナル誌に掲載された彼らの共著論文では、100箇所のブドウ園を対象に、テロワール――土壌の特徴、日当たりの良さなど――に加えて、ワインがどんな方法で製造されているか――どの種類のブドウを栽培しているか、ブドウをどのようにして収穫しているか、ワインをどのように瓶詰めしているか

  • 岡田靖 「小幅で頑固な日本のデフレーションは問題か?」

    訳すのはVOXの記事だけと決めていましたが、エントリーに関してだけは例外です。 日経済のデフレ脱却に向けて、これまで長きにわたり並々ならぬご尽力をなさってこられた岡田靖先生が一昨晩(2010年4月10日土曜日)にお亡くなりになられました。残念ながら先生とは直接お会いする機会を持つことはできませんでしたが、論文等を通じて多大な学恩を授けていただきました。その学恩に対するささやかながらの報いにでもなればと思い、ここに先生の論文を訳させていただきます。岡田先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 Yasushi Okada, “Is the Persistence of Japan’s Low Rate of Deflation a Problem?”(PDF論文は大きく2つのパートから構成される。まず第1のパートにおいて、なぜ日経済において持続するデフレーションが小幅(マイルド)で

    岡田靖 「小幅で頑固な日本のデフレーションは問題か?」
  • Paul Krugman 「サミュエルソン ~比類なき経済学者~」

    Paul Krugman, “Paul Samuelson:The incomparable economist”(VOX, December 15, 2009) 論説は、ポール・サミュエルソン(Paul Samuelson)の生涯と業績に関する回顧記事である。 ご存知だとは思うが、ここで私は、アイザイア・バーリン(Isaiah Berlin)が思想家を類別するために使った、かの有名なたとえ話を持ち出しているのである。キツネは多くのことを知っている(foxes who know many things)。一方で、ハリネズミはたった一つのことしか知らない、ただし、非常に重要なアイデア(=ビッグ・アイデア)を一つ(hedgehogs who know one big thing)・・・というお馴染みのアレである。経済思想家としてのサミュエルソンを、人類史上にわたって比類なき経済学者たらしめて

  • Alan Blinder 「ケインズ経済学」

    Alan S. Blinder, “Keynesian Economics”(The Concise Encyclopedia of Economics, Library of Economics and Liberty) ケインズ経済学(Keynesian economics)は、経済における総支出(total spending)-総需要(aggregate demand)とも呼ばれる-に関する理論であり、総需要が生産やインフレーションに及ぼす効果を理論的に研究する立場の一つである。これまで種々雑多なアイデアに対して「ケインズ経済学」という用語が(時に誤って)あてがわれてきたが、ケインズ経済学の中心的な教義(tenet)は以下の6つのポイントから成っているのではないかと思われる。はじめの3つのポイントは、現実の経済のメカニズム(経済はどのように機能するか)に関する視点をまとめたものである

  • Anna Maria Mayda and Kevin H. O’Rourke 「大きな政府とグローバリゼーション;政府と市場の補完的な関係」

    Anna Maria Mayda and Kevin H. O’Rourke 「大きな政府とグローバリゼーション;政府と市場の補完的な関係」 Anna Maria Mayda and Kevin H. O’Rourke, “Big governments and globalisation are complementary”(VOX, November 12, 2007) 貿易の自由化は勝者と敗者を生み出すが、勝者は敗者が被る痛み以上の利得を手にする。政府は、勝者と敗者がお互いの利害得失を分かち合うメカニズム(勝者が敗者に補償するメカニズム)を前もって用意することを通じて、自由貿易に対する世間一般の支持を醸成するべきである。政府が前もって用意する補償メカニズムには、自由貿易に対する支持を醸成する力が備わっていることを示す証拠もあるのだ。 経済学者は、2世紀以上の長きにわたり、自由貿易の利

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