地中海に浮かぶ小さな島国マルタは、新興の自動車ブランドが注目するほどの価値があるようには思えないかもしれない。この陽光あふれる観光地は人口56万4000人足らず。石灰岩の海食崖や古代の神殿、規制が緩やかなことで知られる。 昨年、この国で登録された新車は約7200台。これは米国で1日に販売される台数の約17分の1相当だ。しかし、中国最大の電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)にとって、マルタは決して小さ過ぎる市場ではない。 BYDは昨年秋、マルタでEVコンパクトクロスオーバー「Atto3」の販売を開始した。同社の未来をイメージさせるロゴを除けば、他の小型スポーツタイプ多目的車(SUV)とほとんど見分けがつかない。 しかし、車内にはビーガンレザー(人工皮革)のシートヒーターや360度回転式タッチスクリーンなど、楽しい機能が満載だ。 60キロワット時のバッテリーにより、マルタ本島を2周でき