02 『マンキュー経済学』の長所は、理論が単純明快にまとめられていることと、理論の現実問題への応用例やケーススタディーが豊富な点にある。最初の章で、経 済学のエッセンスを「十大原理」にまとめ、経済学とは何かを簡潔に示している。ミクロ編は、需要・供給の理論から始めて、その理論が適用できる問題を論じ尽くし、 企業理論や消費者理論は後回しにしているところに特徴がある。この構成は経済学を初学者に親しみやすくし、かつ経済学の現実関連性をわかりやすくしている。 マクロ編は、長期の問題を先に扱い、短期の問題を後にしている点に特徴がある。サムエルソンがかつて提唱した「新古典派総合」は、失業が存在するときに はケインズ理論が妥当し、完全雇用では新古典派理論が妥当するというものであったが、本書のように、長期には新古典派理論が妥当し、短期にはケインズ理 論が妥当すると整理するほうが、二つの理論の位置づけとして