社会の繁栄の裏にある腐敗や矛盾を、鋭い批評眼と大胆な想像力で描き出してきた米国の作家フィリップ・ロスさんが22日、うっ血性心不全で死去した。85歳。米メディアが伝えた。 33年、米国ニュージャージー州生まれ。階級の異なる若者の恋を描いたデビュー作「さようならコロンバス」(59年)で全米図書賞。厳格なユダヤ人家庭で育った主人公の屈折をつづる「ポートノイの不満」(69年)はベストセラーに。70年代以降も、自在な言葉遊びに満ちた長編「素晴らしいアメリカ野球」や風刺色の強い「乳房になった男」など、話題作を次々に発表した。 「背信の日々」(86年)、「父の遺産」(91年)で全米批評家協会賞、98年にピュリツァー賞。「ヒューマン・ステイン」(00年)などで3度、ペン/フォークナー賞を受けた。01年には第1回フランツ・カフカ賞を受賞した。ほかにも、不倫する作家を主人公にした「いつわり」(90年)、老いた