ユダヤ人と聞いてまず思い浮かぶのが、ホロコーストによる大いなる犠牲者ということで、その忌まわしい過去についてはだれもが知っている。けれどそのほか、ユダヤ人、ユダヤ教について私が知っていることは非常に少ない。アメリカで生まれ、敬虔(けいけん)なユダヤ教徒としてユダヤ人社会で育った作家による短編集、と聞いて、だから、異色な作品群をイメージしていた。 表題作は、酒を飲みながらおしゃべりに興じている二組の夫婦が描かれる。たがいの近況、学生時代の思い出、ユダヤ人であることについて、そして、ホロコーストに関連するブラック・ジョークが軽快に行き交う。やがて、四人はあるゲームをはじめる。アンネ・フランクの日記を読んだことのある人ならば、自身の属する国や民族がなんであろうとも、このゲームの主題を一度は考えたことがあるのではないか。もし私がその時代を生きていたら? 私は考えたことがある。人を変え立場を変えて、
月―人との豊かなかかわりの歴史 [著]ベアント・ブルンナー キース・ヘリングは恋人に呼び掛けるように月に想(おも)いを語り、それをTシャツに書いた。フェデリコ・フェリーニは映画「ボイス・オブ・ムーン」の中で月が自分を呼ぶ声を耳にした男を描いた。 ヘリングもフェリーニも、芸術家はアポロ計画によって神秘のベールを剥ぎ取られ物理的な土の塊としての現実となった月には全く関心を示そうとはしない。 本書は、月の探究を通して私たち自らの謎の解明に迫ることが可能では、という試みでもある。確かに月は、人間の長い歴史の中で芸術家でなくとも想像力の源泉としてあり、月を主題にして多くの優れた芸術作品が生み出されたが、その記録の書である。 人格化または神格化としての月はわが「竹取物語」に代表されるように、人間の運命にも深く関与している。天体と地球の関係は幻想を超えてもっと身近に体感してきた。日頃われわれは月の存在と
(クバプロ・2940円) ◇基礎研究が実を結んだ昆虫進化学の大成果 基礎科学という仕事は地味である。たとえノーベル賞をもらうような優れた業績があっても、それがどんな仕事だったか、一般の市民にはたいてい中身が理解できない。あるいは自分には無関係だと思われてしまう。 著者は名古屋大学、広島大学名誉教授。リボソームの分子系統進化学を打ち立て、分子生物学と進化学を結びつけるのに大いに寄与した研究者である。本書はその自伝で、自身の一生を淡々と振り返っている。一九二八年生まれ、八十三歳。 この年代だと中学生の頃は戦時中で、学校の状況も、ある面ではいまとはまったく違っていた。そこは現在の学生には想像がつかないと思う。著者より数年、年長の世代であれば、すでに戦場に出ていた可能性も高い。評者は著者より九歳年下だが、終戦時に小学校二年生。知っているのは空襲とB29、バケツリレーや竹槍(やり)訓練だが、それが著
隠れていた宇宙 上 (ハヤカワ文庫 NF <数理を愉しむ>シリーズ) 著者:ブライアン・グリーン 出版社:早川書房 ジャンル:SF・ミステリー・ホラー 最先鋭の物理学者たちがたどりついた多宇宙理論をわかりやすく解説。上では、パッチワークキルト多宇宙、インフレーション多宇宙、ランドスケープ多宇宙などを取り上げる。【「TRC… 隠れていた宇宙 上・下 [著]ブライアン・グリーン あのとき別の選択をしていれば——人生は常に後悔に満ち、人は常にあり得たかもしれない別の世界を夢想する。そして星の彼方(かなた)や次元のひだの向こうに、その別世界が実在してほしいと願う。無数の小説や映画のテーマとなったそんな夢が、本書の第一のテーマだ。 本書の描く最先端の物理学モデルによれば、無限の変奏を繰り広げる無限の宇宙がある——それも九通り。が、そこにでかけることはおろか、その様子を見ることも通信もできない。モデル
20:08 | はてなブックマークでIDコールされて、ちょっと思うことがあったので、こちらに書く。元は南京事件についてシュレディンガーの猫みたいな議論をしている人は何なの? - 地を這う難破船のブックマークでid:furukatsuさんのコメントをApes! Not Monkeys! さんが言及されていた。そのid:furukatsuさんのコメントfurukatsu 歴史, 思想 そこが理解できないんだ。70年前死んだ中国人のことを本気で思うことは出来ない。よっぽどkanonの方が実感があるんだ。現実の政治問題としてのポジショニングは理解出来るけどね。これに対して自分がブックマークでコメントした。gonzales66 社会, 戦争, 歴史 id:furukatsu氏のコメントはショック。若い世代では日中戦争も三国志と同じ感覚なのだろうか?これに対してのid:MukkeさんのコメントMukk
レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 新聞記者の文章は技術のたまもの 短い文章を書くのは本当に難しい。 「なあに、かえって免疫力がつく」の名フレーズを産んだ東京新聞の社説。 あれだって生半可な技術では、絶対に書けない。 たかだか1000字ちょっとの分量で問題を分かりやすく解説して、 作者の経験に照らした感想を結語に入れて、あまつさえ 読者の想像を刺激する突っ込みどころを作っておいて、 いろいろな人から反響をもらう文章にする。 はなれ業。よほど訓練を受けた人でないと、ああいう結果は作れない。 新聞記者の文章というのは、無駄のない文章を書くという技術においては最高峰だ。 文豪ヘミングウェイは、かつて何年間か新聞社に弟子入りした。 「見てくれ!!一片の脂肪もない、100% 筋肉だけの文
フランス・アルプス(Alps)山脈で実施された軍事訓練に参加する兵士(2008年9月24日撮影、本文とは関係ありません)。(c)AFP/JEAN-PIERRE CLATOT 【10月9日 AFP】人間は自制心を失いそうな状況に陥ったとき妄想や迷信に逃げ込んで理性を保とうとするという研究結果が、2日付けの科学誌『サイエンス(Science)』に掲載された。 「人間は生命の危機への対処力が弱まるほど、精神をコントロールして理性を回復しようとする傾向が高まる」と説明するのは、研究を主導した米ノースウエスタン大学(Northwestern University)のアダム・ガリンスキー(Adam Galinsky)教授だ。「人間にとって感情の制御力は非常に重要であるだけに、その欠如は本質的な脅威となる」 誤った事実認識は悪い結果につながり兼ねない反面、強い精神的な要求を満たすために、妄想などの手段に
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