兵庫県で起きた強制わいせつ未遂事件の裁判で、検察が通常は起訴状に記載する被害者の名前を書かず、裁判所も認めて、被告に有罪判決を言い渡していたことが分かりました。 被害者の2次被害を防ぐねらいの極めて異例の措置ですが、刑事裁判の専門家からは「匿名の記載が一般化すると被告の反論する権利を損ねるおそれがある」と懸念する声も出ています。 ことし3月、神戸地方検察庁明石支部は、兵庫県内で面識のない帰宅途中の女性を乱暴目的で襲おうとしたとして20代の男を強制わいせつ未遂の罪で起訴しました。 刑事裁判は、誰に対する行為で罪に問われているのか被告に明らかにして反論する権利を保障するため、通常は起訴状に被害者の名前が記載されます。 しかし、神戸地検明石支部は、女性が被告に個人情報を知られ二次被害を受けるのを恐れたことから、起訴状に記載する被害者の情報を「性別」と「年齢」だけにとどめました。 被告に被害者が特
実刑判決を受けるべき被告に執行猶予付きの違法な判決を確定させたとして、水戸地検が2010年5月、担当職員を厳重注意処分としていたことが10日、情報公開請求や同地検への取材でわかった。このほか、地検は昨年12月末までの3年間で、USBメモリーへの電子情報の無断コピーや覚醒剤の誤廃棄などで他の職員3人も内部処分していた。 地検によると、被告はかつて、別の事件で執行猶予付き判決を受けた後、再犯で刑務所に収監された。刑期終了後5年以内にさらに罪に問われ、水戸地裁管轄の裁判所に起訴されていた。 刑法は、禁錮以上の刑を受けた場合、「刑の執行終了から5年を経過していない場合は執行猶予にはできない」と定めている。 担当職員は前科があることを確認したものの、被告に執行猶予を言い渡すことができない状況だと気付かないまま執行猶予付き判決を言い渡され、控訴期限が過ぎて判決が確定してしまった。担当職員は、判決の違法
無罪が確定した事件を巡り、取り調べの様子が録画されたDVDをNHKに渡したとして、検察から懲戒処分を求められている弁護士が会見し、「取り調べの実態を国民に知らせるために提供した。検察の申し立てには正義がない」と反論しました。 このDVDは、傷害致死の罪で起訴されたあと、大阪地方裁判所で無罪が確定した男性の取り調べの様子を録画したもので、裁判では無罪の根拠の1つになりました。 この映像についてNHK大阪放送局は、男性の顔をぼかし、関係者の了解を得るなど、人権上の配慮をしたうえで、ことし4月、関西向けの報道番組「かんさい熱視線」で放送しました。 大阪地方検察庁は、事件を担当した大阪弁護士会の佐田元眞己弁護士がDVDを提供したことは、証拠を裁判以外の目的で使用した刑事訴訟法違反に当たるとして、弁護士会に懲戒処分にするよう求めています。 これについて佐田元弁護士が、8日会見し、「取り調べの実態を国
東京地検は5月29日、伊勢神宮の爆破予告などの2件で、片山祐輔氏を起訴。これで、起訴事件は7件となった。すでに、公判前整理手続きが始まっているが、検察側は今なお、事件と片山氏を結びつける主張をせず、「罪証隠滅のおそれ」があるとして、肝心の証拠の開示に応じていない。裁判所もこの事態を「異常、異例」と言ったものの、弁護側の主張は聞き入れず、検察に証拠開示を働きかけるなどの様子はうかがえない。 片山氏の逮捕以後、裁判所は一貫して検察側の主張を受け入れてきた。弁護側は、何度も片山氏の勾留決定に対する異議申し立てをしてきたが、裁判所は「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」「逃亡すると疑うに足りる相当な理由」があるなどとして認めなかった。さらに、裁判所によって、片山氏が弁護士以外とは面会できない接見禁止の指定がなされた。弁護人が、母親との面会を認めるように求めたが、検察側はそれが「罪証隠滅」
抗争相手を組織的に殺害したとして起訴された暴力団員に対する裁判について、さいたま地方検察庁が、裁判員に危険が及ぶおそれがあるとして裁判官だけで審理するよう請求していたのに対し、さいたま地方裁判所が、18日までに請求を却下していたことが分かりました。 平成20年4月、埼玉県ふじみ野市で暴力団の幹部が拳銃で殺害された事件で、山口組系の暴力団員落合益幸被告(65)は、抗争相手を組織的に殺害したとして組織犯罪処罰法違反の罪で起訴されています。 この裁判を巡って、さいたま地方検察庁は去年11月、「裁判員に危険が及ぶおそれがある」として、裁判官だけで審理するよう請求していました。 これに対して、さいたま地方裁判所が、法律で定められている、裁判員に危害が及ぶ場合に裁判官だけで審理するケースに当てはまらないとして、ことし1月、請求を却下していたことが分かりました。検察が裁判員を参加させないよう請求したケー
『東電OL事件 DNAが暴いた闇』、読売新聞社会部、中央公論新社 東電女子社員殺害冤罪事件が再審に至る過程でマスコミ報道をリードした読売新聞取材班による、取材過程のルポ。 「あとがき」の日付は今年の9月になっている。この時点では検察は再審で有罪主張を行う方針に固執しており、判決に至るまで時間がかかることを見越した出版だったのだろう。ご承知の通り、直後の10月には被害者女性の爪に残された付着物から、ゴビンダさんとは別人のDNAが発見され、検察が有罪主張を断念、翌11月には無罪判決が下った。取材陣の努力が決定的な形で――しかも、本書が問題として指摘している検察の証拠隠しが冤罪の重要な要因であることを示す形で――報われた瞬間を本書で描けなかったのは、さぞ悔しかったことだろうと思われる。単にゴビンダさんを有罪とする根拠が崩れただけではなく、別人の犯行を強く示唆する証拠が出て来たいま、当時の捜査関係
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