時計危機の真っただ中にあった1977年。ロレックス(本社・ジュネーブ)はニューヨーク中心部の建物を1500万ドルで購入した。ロンジンやオメガなどの競合他社が苦境にあえぐ中、ロレックスは時計の未来を確信していた。 そして実際、ロレックスはほぼ無傷で危機を乗り越えた。救世主となったのは伝説の自動巻きモデル「オイスター」。ロレックスの英雄物語を築いたこのモデルは、嵐の時代を生き残る命綱となった。他のメーカーは、大量生産に適さないコレクションのために傾いていった。 ロレックスは個人の成功に光を当てた広告に長けている。冷戦や当時の経済成長、「皿洗いから富豪へ」という成功物語の人気を背景に、こうした価値観は広く共感を得た。王冠をブランドロゴに携えるロレックスの快進撃はここから始まった。 二次資料に頼る 「ハンス・ウイルスドルフは、事後的にスティーブ・ジョブスに仕立て上げられた」と語るピエール・イヴ・ド
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