7月に打ち出された、半導体素材に関する輸出管理の見直しは、限られた品目の話でもありますし、自由貿易体制下でもありえる措置です。一方、ホワイト国指定の除外となると、日本側から「安全保障上の懸念がある」「もはや友好国ではない」と宣言するに等しい。ひとたび除外すれば、再び「ホワイト国(カテゴリーA)」に指定するのはハードルが高い。日韓どちらも一歩も引けない「ガチンコ対決」「チキンゲーム」の状況に陥っています。 これまでも、日韓には外交上で緊張する場面がありました。しかし、在日米軍と在韓米軍が連動している以上、安全保障上の戦略的利益を共有していた。そこが“最後の砦”でした。ところが昨年12月のレーダー照射事件で、安全保障の領域ですら、決定的に信頼関係を失ってしまった。 もはや日韓関係の局面が変わり、われわれがかつて見たことのない状況に直面しています。 同志社大学 浅羽祐樹教授 ©文藝春秋 「解決済