寒い家で暮らすと、脳や心臓に負荷がかかる――。海外ではすでに常識であり、日本でも研究者によって着実に知見が集められている。 住宅の断熱性能と健康の関わりを研究している慶應義塾大学の伊香賀俊治教授は「脳や体を健康に保つために、室内の温度が重要であることが立証されつつあります」と話す。実際、高断熱・高気密で温熱環境が整えられた住まいに暮らす人は、断熱性能の低い家に住む人に比べて病気にかかりにくかったり、アレルギー疾患を発症しにくいという研究結果もでている。 伊香賀俊治(いかが・としはる)慶應義塾大学教授 東京大学助教授を経て2006年より現職。内閣官房、国土交通省、厚生労働省などの建築関連政策に関する委員を務める。 ©Ichisei Hiramatsu 無断熱の家が8割超 温暖地こそ冬の対策を そもそも、日本の家の断熱はどの程度進んでいるのか。詳しく資料を見てみると、文字通り“お寒い”実情が浮