日高賢治の中国知財最前線 危険水域を超えている産業スパイ活動 この危機に日本はどう対処すべきか 第5回(全6回シリーズ) 1982年6月,米国発の突然のニュースに日本の産業界に衝撃が走った。日本のH社,M社の社員が米IBM Corp.の最新型ホスト・コンピュータ3081Kの機密情報に対する産業スパイとして逮捕されたのである。 日本では既に風化してしまった感のあるこの事件も,結局,事件の真相と和解の結果は公表されることはなく,当時日本では米連邦捜査局(FBI)による「卑劣なおとり捜査」と言う米国への反感と,米国では日本に対する不信感と言うしこりだけが残った。 それから25年後の2007年,今度は日本を舞台にした重大な産業スパイ事件が大きく報道された。日本最大手自動車部品メーカーであり,世界最先端の電子制御技術を有するD社の機密情報13万件が,中国人技術者により不正にダウンロードされ国