(2010年10月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 日本経済が収縮していくのを諦めて傍観するようになる前、日銀はなかなかの先駆者だった。米連邦準備理事会(FRB)と英イングランド銀行が信用緩和政策と量的緩和政策を始める何年も前に、紙幣増刷による資産買い取りを実験していた。今週、日銀はわずかながら昔の魔力を再発見した。 日銀の政策委員会は9月5日、資産買い取りのための5兆円(600億ドル)規模の基金の「創設を検討する」ことを決め、量的緩和へ回帰するシグナルを発した。購入する資産の7割は国債などの政府債務で、残りがコマーシャルペーパー(CP)や社債、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)などだ。委員会は同時に政策金利を引き下げた。 対策の規模は控えめだが、市場の期待には大きな影響 中央銀行の積極行動主義という意味では、今回の対策の規模は控えめだ。翌日物金利が従来の0.1%では