我々のライフスタイルではフラットパネルディスプレー(FPD)が身近に数多く存在する。スマートフォンを持ち歩くのはもはや日常であるし、鞄の中にはタブレット端末、さらにビジネスの現場ではノートパソコン(PC)も必需品である。デジタル放送のエンターテイメント番組も大型液晶テレビで堪能できる。街へ出ても、ショーウインドーや電車の掲示板のFPDに囲まれている。 かつて液晶ディスプレーは、FPDとして低消費電力であるが、画質は不十分で、特に視野角が狭いものであった。しかし、いつごろからか、この話もあまり聞かれなくなった。視野角が狭かった過去は忘れられたかのようである。 広視野角IPS(In-Plane Switching)液晶は、1990年にドイツのブラウンホーファー研究所のG. Baur氏らのグループから提案され、1992年にその広視野角の原理が学会で発表された1), 2)。そして、提案から25年後
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