前回(「反「大きな政府」連合としてのティーパーティ運動」)、前々回(「グレイトフル・デッドにティーパーティ運動を学ぶ」)に続き「ティーパーティ運動の研究―アメリカ保守主義の変容」より。 同Chapter3渡辺将人氏論文「ティーパーティと分裂要因」ではティー・パーティ運動の軸のひとつを形成するロン・ポール派とリバタリアン勢力の動向を紹介することで、様々な勢力によって構成されるティーパーティ運動が共和党の分裂要因として働く面を指摘する。 一九八八年に共和党議員のまま第三勢力リバタリアン党の大統領候補として大統領選に立候補した経験を持つロン・ポールがティーパーティ運動の前身となる運動を始めたのは二〇〇七年のことで、「反ブッシュ政権・反共和党エスタブリッシュメント」を掲げて、共和党内部から二〇〇八年大統領選に向けて当時のブッシュ政権批判を開始したことに端を発する。金融危機を招いたブッシュ政権の行き