米國大統領選で、民主黨のバラク・オバマが共和黨のミット・ロムニーを破り、再選された。各種メディアは、「大きな政府」を是とするオバマが「小さな政府」を指向するとされるロムニーを破つたことで、米國や世界にどのやうな影響を及ぼすかあれこれ豫想する言論に溢れてゐる。しかしそれらはどれも的外れである。現在の民主黨と共和黨の政策に本質的な違ひなどない。それをさも大きな違ひのやうに騒ぎ立てれば、本當に重要な爭點から人々の目を逸らすことになる。 民主黨が「大きな政府」を好むといふのは正しい(ただし傳統的にさうだつたといふ解説は誤り。民主黨はジェファーソンによる創設以來、二十世紀初め頃まで「小さな政府」を擁護する代表的政黨だつた)。だが共和黨が「小さな政府」を支持するといふのは、現在ではほとんど根據のない神話にすぎない。 たしかにロムニーは社會保障費の削減や減税など、一見「小さな政府」を目指す公約を掲げた。
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