職業柄、金融関係のドキュメンタリー本を折をみてはチビチビと読んでいる。その多くは日本の大手金融機関を扱ったものだが、今回紹介する『在日マネー戦争 』は、在日コリアンが設立した金融機関を取り上げているという点で若干毛色が事なる作品である。 本書は、戦後の大阪を舞台に、在日金融機関の設立・再編を巡る歴史と、それに纏わる人間ドラマを綴ったものである。物語は、焼き肉屋が所狭しと立ち並ぶ日本屈指のコリアタウン・鶴橋から始まる。当時の鶴橋一帯は猪飼野と呼ばれ、生活の糧を求めて朝鮮半島から渡ってきた移民労働者が多く居住する地域であった。 戦後、当地には闇市が立ち並び活況を呈することとなるが、やがてイリーガルな闇市ではなくきちんとした商行為が行われる「商店街」に生まれ変わらせようという機運が生まれる。この商店街結成にイニシアチブを取ったのが李熙健という男である。彼は鶴橋でゴム業を営む傍ら、高利貸しも手掛け
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