奈良県南部の川上村は曲がりくねって進む吉野川(紀の川)両岸のわずかな平地に集落が点在する。村内を南北に貫く国道169号から見える景色は、村北部の吉野川に設けられた大滝ダムを過ぎると山また山の連続。村の総面積のざっと95%を山林が占める典型的な山村だ。 人口は2015年国勢調査で1,313人。ピーク時の1955年には約8,100人の住民が暮らしていたが、高度経済成長期以降、急激な過疎の進行に苦しめられている。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2045年の人口は270人。減少率の79.4%が全国ワーストワンになったことで話題を集めた。 村は室町時代から植林が始まった吉野林業の発祥地で、江戸時代に最高級建築材としてもてはやされた吉野スギ、吉野ヒノキを生産していた。豊臣秀吉が大坂城、伏見城を築いた際に用いた木材は、吉野産だったと伝えられている。 奈良県林業統計によると、村内の森林面積は約2万