2020年7月、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の運用がスタートする。AfCFTAは、アフリカ連合(AU)に加盟する55カ国・地域による自由貿易圏構想。アフリカ大陸全域での単一市場創設や、資本と人の移動の自由確立を目指している。2019年5月に設立協定が発効した。実現により、人口約12億人を抱える巨大市場が生まれる。 アフリカ経済の将来に対する世界の期待は大きい。アフリカは長らく経済の停滞が続いたため、経済成長の可能性には懐疑的な見方が少なくなかった。しかし経済停滞の原因は、かつては欧州による植民地支配、近年は社会主義政策の採用によって、自由な貿易が阻害されたことにある。 歴史をさかのぼれば、アフリカには自由貿易によって繁栄した時代があった。そこで重要な役割を果たしたのは、イスラム教徒(ムスリム)商人である。 歴史上、アフリカの繁栄に寄与した重要な交易路は大きく二つある。一つはサハラ