定年延長は高齢従業員のモチベーション向上を目的とするが、円滑な世代交代との両立が難しい。(写真:k_yu /stock.adobe.com) 仕事が変わらないのに、給与は半減――定年退職後再雇用に関して「同一労働同一賃金」の原則が全く成り立っていない。日経ものづくりがメールニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の読者(ほぼ製造業の従事者)を対象に実施した調査では、再雇用になって定年前と仕事量が変わらない場合でも「給与は5~6割程度」という回答がほぼ半数を占め、「3~4割程度」という回答も20%を上回った(図1)。この問題を解消し、高齢従業員のモチベーションを向上させようと、定年を65歳に延長する企業が増えている。
正社員と非正社員との間の「合理的でない賃金格差」が、パートタイム・有期雇用労働法で禁止されてから3年がたったが、現実にはその実効性は乏しい。 同一職務の内容が明確ではないためで、勤続年数だけが長い正社員の方が、短期雇用の非正社員よりも、仕事能力は高いと見なされやすいからだ。 もっとも、非正社員のうちでも、定年退職後に再雇用されたばかりの60歳代の元正社員については、とくに現業の場合、仕事能力の差はほとんどないはずだ。 にもかかわらず、働き方の違いだけで、賃金格差が合理的なものと見なされていることには大きな問題がある。 再雇用者の賃金が低いのは当然か 具体例として、大型トラックの運転手という、明らかにまったく同一の業務についても、再雇用者には賞与がないことは合理的ではないという運転手からの訴訟があった。 これについて2018年の最高裁判決は、再雇用者の年収の低下幅は、世間で一般的な水準の範囲
「近所」で「週休2日」だから入社 仕事が好きかどうかは、仕事を続けるモチベーションの重要な要素だ。ただし、関氏の入社のきっかけは機構設計を手掛けたかったからでも、給料が高かったからでもなかった。「会社が自宅から通える距離にあり、当時珍しかった完全週休2日制を導入していたから」(同氏)だった。 しかし、入社動機の1つだったにもかかわらず完全週休2日は当初、実質的に機能していなかった。多忙を極めたからだ。土曜も日曜もなく、毎日深夜12時まで働いた。自宅には「寝に帰るだけ」の生活だった。「当時は残業代が青天井だったので、給料は基本給の2.5倍程度になった」(同氏)。 仕事は面白かったという。主に電気計測器の機構設計と、計測器の部品加工から組み付け、検査、完成に至るまでの生産ラインの設計を担当。上司からミッションを示されるとアイデアを練り、図面を描く時間もないので「頭の中で設計図を描いてどんどん、
――2022年4月に「60歳一律役職定年」の廃止とシニア社員の処遇改善を行い、賃金が低下しないようにしたわけですね。 菊岡 そうです。それまでは同じ業務を担っていても60歳になると処遇が低下していました。改定後は、同じ役割であれば同じ処遇を継続するようにしました。 ――2013年4月に改正高齢者雇用安定法が施行され、65歳までの継続雇用制度が導入されました。法改正に合わせていち早く制度を変え、その後も段階的に制度を見直しています。相次いで制度変更を行ってきた背景にはどんな目的があったのですか。 菊岡 もちろん法改正に対して回答を出すという目的もありましたが、一番の目的は技術職を中心としたシニア人財のリテンション(引き留め)です。2013年以前の旧来の嘱託再雇用制度では60歳を迎えたら4割ぐらいが退職していました。技術キャリアが豊富で、高度のスキルを持ち、事業運営に必要な資格を持っている技術
人生100年時代を迎え、定年後も仕事を続けるシニアが増えている。総務省によると、昨年の65歳以上の就業者は過去最多の912万人で、高齢者の4人に1人が働く。シニア人材を積極採用する企業では、業務を細分化したり、個々の体力などに応じて多様な働き方を用意したりして戦力にしている。 (川合道子) 「いらっしゃいませ」-。アルバイトの学生らに交じって、店内に張りのある声が響く。岐阜市の榊原照巳さん(70)は、5年ほど前から自宅近くにある寿司(すし)・しゃぶしゃぶ店「ゆず庵(あん)岐阜六条店」で働いている。勤務は土日の午後5~9時の4時間で、主に洗い場や調理補助が担当だ。 調理師として40年以上、仕出し料理店などで働いた経験があり、「飲食なら仕事がイメージしやすい」と無料情報誌で見つけた求人に応募した。「働けば年金の足しになるし、若い人から刺激をもらえて健康のためになる」とほほ笑む。 この店舗を含め
高齢者雇用とは、労働意欲のある高齢者を雇用すること。日本では「高年齢者就業確保措置」として65歳、または70歳までの就業機会の確保を企業に求めており、年に1回の「高年齢者雇用状況等報告」を事業主に義務づけている。 高齢者雇用を国が積極的に推進する背景には、日本の少子高齢化がある。少子化で新たな労働力が減る一方、高齢化により現役労働者の引退が相次ぐことで、日本の労働力不足は深刻になっている。これを補う方法の一つが、定年を迎えた高齢者の再雇用だ。 とはいえ高齢者雇用は簡単に実現できるものではなく、高齢者雇用に伴う課題も少なくない。この記事では高齢者雇用をめぐる話題を過去記事から振り返る。 70歳定年も? 定年延長について知っておくべき10のこと 高齢者雇用を推進するため、2021年4月に「改正高年齢者雇用安定法」が施行された。企業には定年引き上げとともに、「65歳までの雇用機会確保の義務」と「
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