ネットの進化は、言論の世界も大きく変えた。ウェブ上を連日、膨大な「論」が流れ、時に激しい敵意も飛び交う。転換期の言論空間は、どうあるべきか。評論家の荻上チキさんに聞いた。 ◇ 2003年、「ブログ元年」と呼ばれる少し前の時期に、個人ニュースサイトを作った。ウェブ上には面白い記事が散見されるが、適切なフロー(導線)が作られていない。そこで人文社会科学系のコンテンツを紹介する記事を毎日更新していた。 他方、ウェブ上には多くの流言・デマが拡散されていた。そうした「悪貨」を中和し、より適切な知識を提供するため、複数の「まとめサイト」を作り上げた。人々のオピニオンを変えるのは難しい。しかし誤った知識に基づいた雪崩現象(サイバーカスケード)に対し、議題の変更を提案することはできる。炎上は作れるが、同時に炎上は最小限にすることもできる。 SNSが普及し始めた頃、ネ…