観る者を圧倒する表現力や独特の個性など、芸術の名作と呼ばれる作品には、多くの人たちが評価するだけの“何か”がある。ただ、どう素晴らしいのか、なにが優れているのかは正直よく分からず、そうした理由で「芸術はとっつきにくい」と考え、美術館などになかなか足が向かないという人も多いのではないだろうか。しかし、もし「駄作ばかりを集めている」との看板を掲げ、気楽に覗ける美術館があるとしたら――。実際、米国にはそんな美術館「Museum of Bad Art」がある。 ボストンでディーラーをしているスコット・ウィルソン氏は、その昔、ゴミ集積場にあった1枚の油絵を発見した。その絵は花畑の中で赤い椅子に座って足を組む、1人の老婆と思しき人物を描いた作品。米紙ボストン・グローブによると、ウィルソン氏は当初その作品を売るつもりだったそうだが、友人は彼に「持っているべきだ」と進言され、これをきっかけに「Museum