流行っていないお店を見るのがすごく苦手だ。 色あせたメニューや手書きのポップが表に出ていて中はガラガラなんて店を見かけようものなら、胸に希望が溢れ笑顔で開店準備を進めていたであろう店主を想像してしまい、いたたまれなくなり焦燥感に追われ動悸が激しくなって体調を崩してしまう。 でも自分でそこを利用することはない。 通勤に使っている駅には、いつも決まった場所に年配の女性のホームレスがいて、ニット帽をかぶりジャケットを着て、土嚢を椅子代わりにして座っている。 いつもじっとしていてあまり動くことはないけれど、一年以上も餓死していないのだから、何か収入があって生活を成り立たせているはずだ。 毎日そこを通るたびに、祝福されたであろう彼女の誕生や可愛らしかったであろう子供時代を想像してしまい、いたたまれなくなり焦燥感に追われ動悸が激しくなって体調を崩してしまう。 私はその気になればいつでも、彼女の手をとっ