長年の悪弊を断ち切れるのか、芸能界の覚悟が問われている。 劇作家や演出家による俳優らへの性暴力やハラスメント疑惑が先月、相次いで表面化した。 俳優が、所属する劇団の主宰に深刻な性的被害を受けたとして損害賠償を求めて提訴し、実名を出して記者会見で告発した。主宰は否定しているが、舞台は直前に中止された。 映画界でも昨年春、監督らにハラスメントを受けたという告発が続いた。 要因の一つとして指摘されるのが、稽古(けいこ)場や撮影現場の閉鎖性だ。また、プロデューサーや監督、演出家らに配役の権限が集中していることも挙げられる。 業界特有の構造もある。俳優やスタッフは立場の弱いフリーランスが多く、仕事の発注者との力関係がゆがみやすい。 文化庁の昨年度調査では、3割が発注者らとの関係で「危険を感じた」または「ハラスメントを受けた」と回答している。 才能がものをいう芸能界では、現場における暴力的、差別的な言