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ブックマーク / blog.tinect.jp (54)

  • 手取り19万円の栄光の終わりに

    舵のない舟 かくて早くも彼の心は、洗練された隠遁の地、心地よき無人の境、人間的愚かさの絶えざる氾濫を遠く逃れた、びくとも動かぬ、なまぬるい方舟を夢みつつあった。 ユイスマンス『さかしま』 さかしま (河出文庫) 思えばおれの人生というのは舵のない舟に乗って川を流れてきただけだ。みすぼらしい帆や、壊れかけのエンジンはついていたかもしれない。ただ、流れてくるように、流れてきた。 おれは人生に興味がなかった。正確にいえばおれはおれの人生に興味がなかった。明日、どうしよう。五年後、どうしよう。大人になったら、どうしよう。なに一つ向き合ってこなかった。 親だとか誰かだとかにいわれるがままに、適当に流れてきた。意思というものがなかった。 べつに親だとか誰かだとかを信じていていたとか、そんな話もない。自分は確固たる意思をもって、意思を持たずに生きてきた。 人生の岐路に立って自分で道を選んだという覚えもな

    手取り19万円の栄光の終わりに
    pha
    pha 2024/05/30
  • 安楽死が合法化されたら日本は姥捨て山になる

    安楽死が合法の国で起こっていること』というをご存じだろうか。 安楽死が合法の国で起こっていること (ちくま新書) 筆者の児玉真美さんは障害者やその家族の立場に立って活動しているベテランの著述家だ。その著者が、安楽死の議論と実践が進んでいるオランダやカナダなどの現状を伝え、議論のたたき台としてまとめたのが書、ということになる。 安楽死・尊厳死・自殺幇助といったまぎらわしい語彙を理解するにも向いているだろう。 いわゆる人権先進国で安楽死が急増している 人の生死を扱う書籍だけに、『安楽死が合法の国で起こっていること』にはドキドキする話題やセンシティブな議論が多い。なかでも強い印象を受けたのは、カナダやベルギーやオランダやスイスで安楽死が合法化され、しかも急速に広がっているという話題だった。 たとえばカナダでは2016年に安楽死が合法化されたが、少なくとも当初、その条件は慎重に設定されていた

    安楽死が合法化されたら日本は姥捨て山になる
    pha
    pha 2024/03/11
  • なぜ図書館で本を借りることは恥ずかしいのか?

    図書館を借りられることは正しいのか? 「図書館を借りられることは正しいのか?」と問われて、「正しい」と答えるのが正しい。 どのように正しいのか。AIにいくら「図書館を貸し出すことの弊害」を訊いても、結局は「図書館を貸し出すこと、市民がを借りられることは正しい」と答えるくらいには正しい。そのくらいポリティカルに正しいのだ。 日には「図書館の自由に関する宣言」というものもある。1954年に採択された。少し長いが引用したい。 図書館は、基的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。 1.日国憲法は主権が国民に存するとの原理にもとづいており、この国民主権の原理を維持し発展させるためには、国民ひとりひとりが思想・意見を自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由の保障が不可欠である 知る自由は、表現の送り手に対して保障されるべ

    なぜ図書館で本を借りることは恥ずかしいのか?
  • でかいペットボトルの焼酎を買う人間の末路

    おれと酒、酒とおれ おれは酒が好きだ。酒も俺のことが好きなんじゃないかな。 とはいえ、「酒」といってもいろいろある。大きく分けたら醸造酒と蒸留酒ということになるのか。大きく分けたらおれは蒸留酒のほうが好きだということになる。 おれが好きなのはウイスキーだ。ウイスキーがお好きでしょう。でも、さらに絞りたい。絞った先にあるのは、スコッチということになる。スコッチのなかの、シングルモルトということになる。 シングルモルトのなかでも、アイラモルトが好きだということになる。ラフロイグが好きだ、ボウモアが好きだ、なによりアードベッグが好きだということになる。どんな味がするのか。薬品臭とすら言われる独特の香りがある。そして、酔いがたまらん。 「酔い」に違いがあるのか。味や、匂いではなく。 おれは「ある」と答えたい。質の良いスコッチのもたらす酔いは別格だ。一瞬で深く染み渡り、じつにいい気分になれる。そして

    でかいペットボトルの焼酎を買う人間の末路
  • 甘寧(田島くん)と酒を飲んで、ファミコン版の三國志のことを思い出した話

    つい先日、数年ぶりに友人の甘寧(かんねい)と酒を飲みまして、大変懐かしかったので、今日はファミコン版の「三國志」の話をします。 三国志をご存じの方なら、一行目から「こいつは何を言っているんだ???」という疑問を抱かれたと思いますので順を追って話しますと、甘寧というのは私の小学校来の友人の田島くん(※仮名)のことです。 田島くんが何故甘寧かというと非常に単純な話でして、それは彼が甘寧に酷似しているからです。 これが甘寧です。そして田島くんです。当時から似ていましたが大人になってより一層甘寧になっていました。 ご存じの方には今更の話で恐縮ですが、光栄(現コーエーテクモゲームス)の「三國志」には「武将」が出てきます。 劉焉、曹操、孫権などの皆さんよくご存じの中国・三国時代の英傑たちを操って中華全土を統一することが目的のゲームなのですが、当時既にファミコン移植されていた「信長の野望・全国版」が基

    甘寧(田島くん)と酒を飲んで、ファミコン版の三國志のことを思い出した話
    pha
    pha 2023/03/03
  • 「自己啓発」や「自己実現」の次に、どのような価値観が到来するのか?

    先月下旬、「自分のやりたいことをやったほうが良いという考えが時代遅れになり」「そうでない価値観に変わるのではないか?」といったツイートを見かけた。 自己啓発や自己実現の時代のネクストは何か? といった話でもあったため、個人的に強い興味をおぼえた。 今後20年で「人は、自分のやりたいことをやったほうが良い」という考えが流行らなくなり、別の価値観になりそうな気がしてます。 ここが戦後アメリカからはじまった自己啓発ブームの終着点かもしれない。 — けんすう (@kensuu) 2023年1月22日 このツイートだけでは、投稿主であるけんすうさんの考えはわかりにくいかもしれない。が、その後の投稿には 「自分のやりたいことをやったほうが良いけれども自分のやりたいことがわからない人が大勢いる」 「能力主義の公正性がはっきりしなくなってきている」 とも書かれていて、個人主義に根差した現在の競争社会とその

    「自己啓発」や「自己実現」の次に、どのような価値観が到来するのか?
  • 『ダーウィンが来た!』で、東京ホモ・サピエンス編をやってくれないかなあ。

    日曜日の夜を楽しみにしている。 いや、月曜日が近づいてくるのは憂ではある。 それでも楽しみなのは、『ダーウィンが来た!』が19時30分から放送されるからだ。 『ダーウィンが来た!』は、NHKの長寿番組で、毎週さまざまな生き物のユニークな生態が紹介されている。 絶滅危惧種の風変わりな暮らしが描かれる回もあれば、大都市の人工的な空間でたくましく生きる動物たちに迫る回のこともある。 生物に関心のある人なら文句なしに楽しめる番組だ。 そんな、バリエーション豊かな『ダーウィンが来た!』ではあるけれど、毎回の番組構成にはよく似ている。 番組に登場する生物は、だいたい以下の4つの課題に沿って紹介される。 それは、 1.餌をとったり逃げたりして生き残ること 2.配偶の相手を見つけること(巣作り、テリトリー争いを含む) 3.子育てをすること だ。そして鮭の産卵のような場合、ここに 4.子育てを終えた後に死

    『ダーウィンが来た!』で、東京ホモ・サピエンス編をやってくれないかなあ。
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    pha 2023/02/02
  • 自業自得の人工透析者が身内にいるのだが

    ※「自業自得」と思える人工透析患者が身内にできてしまったが、社会正義とどのように折り合いをつけるべきか、という話です。前半はなぜ自分が「自業自得」かという家族史とその一例の具体的なエピソードが延々と続くので、興味なければ飛ばしてください。あと、当然のことながらおれの視点による解釈であり、また、意図した上での、あるいは無意識での脚色が含まれています。 父のいた我が家 まだおれも弟も子供だったころ、まだ実家があったころのことだ。父が出張などで家にいないと、空気が軽くなるのを感じた。実に不思議なものだと、当時から思っていた。 べつに父は常に暴力を振るったり、過度に厳格な人間だったりはしなかった。それはなかった。 手を挙げることはなかったし、厳格な躾、教育方針とはかけ離れた人間でもあった。 どちらかというと放任、教育についても自分の思想を披瀝して対話をしたがるタイプだった。子供相手でも。 ただ、満

    自業自得の人工透析者が身内にいるのだが
    pha
    pha 2023/02/01
  • 「今年は小説を書く」と宣言したのに、一文字も書けませんでした。

    書くということ おれは2022年の1月1日に、自分のブログで「今年は小説を書く」と宣言した。何人かの読者から期待されもした。おれはやる気だった。 しかし、2022年、おれは小説を書くことができなかった。書こうとすらしなかった。一文字も書けなかった。まったく。 ……などと書くおれはなんなのか。なんだろうな。ネットの片隅にいる日記書きだ。 それなりに長く書いてきた。書くことは好きだ。ずっと好きだった。 おれは日語を書くことが得意だと思って生きてきた。身の程に合わない大学に入れたのも、小論文一で勝ち取ったものだと思っている。だからフランス語の活用が覚えられなくて中退することになったけど。 でも、たとえば、そこらへんを歩いている人を十人くらい集めたら、そのなかで二番目くらいにものを書くのはうまいという自負もある。 もっとも、百人集めたら二十番目、千人集めたら二百番目ということになるのだが。あ、

    「今年は小説を書く」と宣言したのに、一文字も書けませんでした。
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    pha 2023/01/03
  • それでもコロナは施設や病院を麻痺させ、弱い人を殺してしまう。それをわかったうえで議論していますか。

    ホーム > それでもコロナは施設や病院を麻痺させ、弱い人を殺してしまう。それをわかったうえで議論していますか。 「新型コロナウイルスの脅威」と言って、今、気で怖がっている日人はどれぐらいの割合だろう? たぶん、あまりいないだろうと私は想像する。 2020年、まだこのウイルスが正体不明だった頃は、大半の日人が脅威を感じて外出やイベントを自粛した。 クルーズ船報道が物々しかったこと、有名芸能人が死去したこと、等々もウイルスの脅威を印象づけ、自粛に拍車をかけたかもしれない。 それから二年の歳月が流れた。 日における感染者数は、2020年とは比較にならないスケールになったが、景気は悪くなり、人々は世界的なインフレと円安に神経を尖らせてインバウンドに期待している。 そこから察するに、日人の大半は、今はあまり脅威を感じていないのではないだろうか。 社会全体の数字を見れば、確かにそれもそうだと

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    pha 2022/11/09
  • 独身中年のおれは社会の「不審者」であることを甘受する

    独身中年の不審者度 『見知らぬ人はすべて「不審者」、行き過ぎた通報も…平日昼間に出歩く中年男性の僕が困惑した理由』という赤木智弘氏の記事を読んだ。 平日の昼間に中年男性が一人でうろついていると、「不審者」扱いされる現実があるんじゃないか。 声優の落合福嗣氏なんて、平日に娘と公園で遊んでいただけで通報されたぞ、という話だ。 防犯としての「挨拶」を教育している例もあるし、なんでもかんでも「事案」になってしまう世の中ってどうなん? 偏見があるんじゃないの?……というような内容かと思う。 これに関して、おれも当事者の一人ということになる。 というか、通報する側である子供連れの親、あるいは子供そのものといったものも当事者であって、社会のほとんどの人間が当事者といえるかもしれない。 とはいえ、やはり中年独身男性で単独行動も多いおれは、「不審者」の対象たりうる一番の存在であって、我が事と思わざるを得ない

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  • 50歳になってようやく気付いた、人生で重要なことと、後悔したこと。

    僕はいま、40代最後の数日を過ごしていて、このエントリが公開されているときには(急病や事故などで世を去っていなければ)50歳を迎えているはずです。 僕の両親はともに50代で人生を終えているので、ああ、もうここまで来てしまったか、終活とかも考えなければならないのかな、という感慨とともに、こんな悟りには程遠い年齢、成熟度で命が尽きるとき、両親はどう考えていたのだろう、納得できなかったんじゃないか、と想像もするのです。 命というのは、人が納得するしないにかかわらず、終わるときには終わる。 最近、周囲の人の若くしての思いがけない訃報が続いて、僕自身混乱もしているのだけれど、その一方で、「まだ自分の番ではなかった」ことに、少し安堵もしてきました。 それでも、いつかは順番がまわって来る。 今の世の中の全体像としては、50代くらいは、まだ「現役世代」であり、そこまで老け込むことはないのかもしれませんが

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    pha
    pha 2022/01/07
  • 老いによる限界は避けられないけれど、全力疾走する中年として今を生きたい。

    生物学的な加齢と社会的な加齢によって、人生のシーンはどんどん変わっていく。 30代になった頃も、40代になった頃も、目の前に現れた新しい状況や展望に驚かずにいられなかった。 とはいえ驚いてばかりでは、人生の新しいシーンに振り回されるというか、消極的にしか対処できない。 だから私はいつも年上の人々の言葉のなかに人生の未来予測に役立ちそうなヒントを探し、それをあてにしてきた。 でもって、最近立て続けに年上の人のありがたい言葉が視界に入ってきた。 これから紹介する2つのテキストはどちらも参考になるもので、みようによっては、「あなたならどうする?」と問いかけているようにも読める。 これらを皆さんと共有したうえで、今の生を振り絞ること、生き急ぐことについて所感を書いてみたい。 1.「中年になって起業したあの人が引退するだなんて」 はじめに、私が読んで衝撃を受けたブログ記事を紹介する。 50歳以降の男

    老いによる限界は避けられないけれど、全力疾走する中年として今を生きたい。
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    pha 2021/12/14
  • 深まる秋に、50代の身の振りようを思う

    ひと雨降るごと、秋が深まってゆく。 道端で、咲き誇る彼岸花や蝉の死骸を見るたび、私は少し憂になる。 つまり夏が終わって冬の足音が聞こえ始めたのだ。 コオロギやスズムシは今が最盛期だが、やがてそれらも絶えてゆくだろう。 死の横溢する冬の到来はどうにも避けられない。 人気ビジュアルノベルゲーム『月姫』には、”直死の魔眼“というものが登場する。 主人公・遠野志貴の目には万物の死、それも概念としての死が見えてしまうという。 その目を駆使して遠野志貴は危機を切り抜けてゆくのだが、そんなものが四六時中見えてしまっては正気ではいられない。 『月姫』は、そのさまもよく描いていた。 しかし平凡な私たちでも、秋から冬にはさまざまな死が見える。 芽吹きの季節や盛期があるだけでなく、秋の衰えと冬の死がやってくることを、四季は私たちに示唆してやまない。 思秋期、という言葉がその最たるものだが、洋の東西を問わず、人

    深まる秋に、50代の身の振りようを思う
  • メシ画像をきっかけに出会った、「神々の山嶺」が滅茶苦茶面白いので語らせて欲しい

    なるべく断片で理解した気になりたくないので、気になる画像があったら可能な限り「元ネタ」を当たるようにしています。 「いつの間にかインターネットミームになった漫画の一コマ/1ページ」というものが、世の中にはたくさんあります。 Twitterやらなにやらで、バズってるツイートにぶら下がるようなヤツです。 例えば、鋼の錬金術士の「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」とか。 ジョジョ第四部の「だが断る」とか。 少女ファイトの「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」とか。 ヒストリエの「よくもだましたアアアア!!」とか。 ミームとまでは言えないまでも、「その一ページだけが切り取られてそこだけ独り歩きしてしまう」という漫画も枚挙に暇はありません。 狂四郎2030の「今日は全員カレーライスっていいのか!」とか、新テニスの王子様の「デカすぎんだろ…」あたりはその代表格だと言っていいでしょう。

    メシ画像をきっかけに出会った、「神々の山嶺」が滅茶苦茶面白いので語らせて欲しい
    pha
    pha 2021/10/06
  • なんでパチンコに人が群がるのかがわかって、いろいろと切なくなってしまった

    「期待値を考えればパチンコは絶対に損をする」 「それなのにパチンコなんてやってる連中は頭が悪いとしか思えない」 かつてこんな感じの言説をよく聞いた。 それを聞いて僕は「確かに」と思う一方、この手の言葉がパチンコをやっている人達に「こいつはなんもわかっちゃいねぇ」という風に全く刺さっていないようにも見えた。 「パチンコにハマる奴はただの馬鹿と切って捨ててしまうのは物事の質をみていないのではないか?」 そもそも人間は数円単位でケチをする生き物であり、少額でも損をしたら物凄く落ち込む生き物である。 そんな損が大嫌いな人間が、果たして絶対に損をするとわかっている行為にこんなにも夢中になるのだろうか… その長年の疑問に最近ようやく回答が得られた。 そして冒頭の期待値云々の話は完全に誤りであった事を理解したので、今日はその話をしよう。 スロットマシンで超簡単に”ゾーン”に入れる 「デザインされたギャ

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  • 「自分のような無能は子どもを持つべきではない」という考え方は「世俗のきわみ」。

    ああ、これこれ。反出生主義って世俗からの離脱とうつるかもだけど、正反対に、能力主義や成果主義や自己責任を厳しく内面化した結果として反出生主義ってあるように思うわけです。そういうの珍しくないんじゃないかな。 https://t.co/YOmevsmwf8 — p_shirokuma(熊代亨) (@twit_shirokuma) June 3, 2021 6月上旬にtwitterで上掲のようにつぶやいたところ、じわじわと「いいね」と「リツイート」が集まってきた。 このことをとおして、似た風に考えている人が結構いることを私は知った。 なので、このつぶやきに関連して、世俗のきわみのような自称-反出生主義について簡単にまとめてみる。 私にとって反出生主義といえば、輪廻からの離脱 反出生主義という語彙を頻繁に目にするようになったのは令和に入るか入らないかの頃、2010年代の終わり頃からだったと思う。

    「自分のような無能は子どもを持つべきではない」という考え方は「世俗のきわみ」。
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    pha 2021/06/23
  • 子育てのため、精神科医の仕事を辞めて「専業主夫」になった時の話。

    今までネットに書いたことがありませんでしたが、ある時期、私は仕事を辞めて子育てに専念していました。 そうなる前、私は私なりに子育てについてだいたいの算段をつけていたのですが、ハプニングがいくつも重なってしまいまして。 このままでは一家崩壊になってしまいそうだったので自分が子育ての主役を引き受けようと決意しました。 常勤の精神科医が仕事を抜けると迷惑になるとも思いましたが、状況が状況だけに職場は承諾してくださり、なんとか年度末まで勤めた後、私は子育て専業主夫になりました。 今日はその頃の話をします。 事前の計画 どうせ仕事をやめて子育て専業主夫を始めるなら、これを危機だと思うよりチャンスだと思わなければもったいない。 そのために何が必要なのか? 家族と相談しながらいろいろ考えました。 まずは軍資金。 先立つものとして1000万円を用意しました。 ミリタリー界隈では「戦争は補給で決まる」という

    子育てのため、精神科医の仕事を辞めて「専業主夫」になった時の話。
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    pha 2021/03/24
  • リングフィットアドベンチャーをほぼ毎日やってみて感じたことを書く。

    最近、任天堂のリングフィットアドベンチャーという筋トレゲームを始めたのだが、これがまあエラいよく出来ていて驚いてしまった。 最初は 「筋トレのゲーム?そんなん面白いはずないやろ」 と思いスルーしていたのだが、あまりにもバカ売れしてるので興味を持ち、実際にプレイしてみて想定外の面白さに当に驚いている。 購入後一ヶ月程度たったのだが、ほぼ毎日ワクワクしながらやってたりするので、これは驚異的である。 (ある日の僕の筋トレ内容) あまりにも自分が楽しそうにやってる姿をみても興味を持って始めたのだが、普段ゲームをやらないですら楽しく毎日プレイしている有様である。 これは奇跡のような超絶楽しい筋トレゲームだといっても過言ではない。 筋トレをエンタメにできてるのは当に凄い そもそもの大前提として、筋トレはあまり面白いものではない。 実は僕も学生時代に毎日腕立て伏せ100回、腹筋50回をこなしてい

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    pha
    pha 2020/11/27
  • 反出生主義者が、「死」に思いを馳せてみる。

    一週間から十日後の死 父が心筋梗塞になり、救急車で運ばれた。 ICUで鎮静剤を注入され、数日間意識を失っていた。 検査によって腎臓にも問題があることがわかった。 父には持病があるが、あらゆる病院に行き、あらゆる病院とトラブルを起こすような人間であった。 医師というものを嫌悪し、見下し、薬というものを嫌った。 いわゆる迷惑老人というものだろう。 やがて行くことのできる病院がなくなった。 そんな人間だけに、常日頃「延命措置などしない」と言っていた。 が、意識が戻り、「人工透析をしなければ一週間から十日で死ぬ」ということを医師から伝えられると、「それでは仕方ない。お願いします」と言ったということだ。 それを伝え聞いたおれは、「やっぱり人間というものは弱いものだな」と思った。 あるていど健康に生きているときに、「延命措置なんて不要だ」、「ぽっくり死んでやる」と思っていても、具体的に一週間から十日で

    反出生主義者が、「死」に思いを馳せてみる。