[第12回]歴史問題を解決するために 学ぶべきは「アデナウアーモデル」 ジェニファー・リンド Jennifer Lind 米ダートマス大准教授 国際政治における戦争の記憶について本を書こうと研究している間、最も重要な会話は、日本の親友宅で生まれた。私は彼女の両親を「ママ」「パパ」と呼ぶほど、一家と親しかった。 なぜ、親切なパパが…… ジェニファー・リンド氏 東アジアでは、頻繁に歴史論争が起こる。中国や韓国が日本の歴史教科書や首相の靖国神社参拝などに抗議すると、世界中の新聞に紋切り型の論説があふれた。「戦後、ドイツは幅広く謝罪し、西欧は和解に成功した。日本もそれに倣って謝罪し、犠牲者に賠償すべきだ」と。私はこうした議論を検証しようと思った。 こうしたお決まりの見方を疑い始めたのは、日本の指導者たちが実際に何度も謝罪していると知った時だ。1993年の細川護熙の韓国への謝罪や、95年の村山富市の