自宅で死ねるか 在宅緩和ケアの現場(下) 高齢化に伴うがん患者の増加は、同時に、認知症や複数の疾患を併せ持つがん患者の増加を意味する。こうした患者の受け皿となる医療機関や施設は、十分にあるとは言い難い。一方、独居高齢者も増えており、在宅緩和ケアが直面する現状は、ますます厳しい。(烏美紀子) ■ここにいてもいいの? 東京都江東区で独り住まいだった清水玉子さん(享年94)は2009年7月、乳がんのため、自宅で息を引き取った。大おばに当たる清水さんから、娘のようにかわいがられたという土屋希代子さん(45)=福島県郡山市=は、亡くなる数年前から清水さんが、「わたし、ここにいてもいいの?」と、たびたび問うようになったと振り返る。 ...