株式市場の未成熟が経営の迷走を招いた〜冨山 和彦 産業再生機構 元代表取締役専務兼COOに聞く(3) (聞き手:荒川 龍=ルポライター) (冨山氏インタビュー第1回、第2回) 困窮企業だけが特別ではなく、多くの企業が今も共有する「競争力の低下」 産業再生機構 元代表取締役専務兼COO 冨山 和彦氏 ■企業再生を手がける過程で、中央や地方の別なく、日本の企業に巣食っていた「決断できない、いい人たち」経営についてお話を伺ってきました。冨山さんは再生機構が今回手がけた41社だけが特別な存在じゃない、とも発言していらっしゃいますよね。 冨山 それらの企業は、多くの日本企業が抱える傾向が極端に出てしまって、過剰債務もあって、危機的状況に陥った事例にすぎないんです。長年の経営不振とそれに伴う設備投資の抑制。事業戦略力と人材力の低下といった問題は、程度の差こそあれ、どの企業も今なお共有する問