自由の国アメリカに生まれたユダヤ人メイル・カハネの人間的本質は悪漢(Rogue)である。ホロコーストを生き延びたユダヤ人難民の受け入れを拒否し続けたイギリスの外務大臣アーネスト・ベヴィンに抗議すべく生卵をぶつけて逮捕された瞬間に彼の活動家としての人生は始まった。カハネは新左翼運動の真っ只中である68年にユダヤ防衛同盟(JDL)を結成するとすぐさま頭角を現す。当初のJDLはニューヨークのローカルな自警団/互助グループに過ぎなかったとされる。地域に住むユダヤ人に向けられた不当な差別や敵意、暴力(ヘイトクライム)に対抗すべく「実力行使」も辞さなかったJDLは短期間に地域社会での支持基盤を得ると、その後は反ソビエト(反共)の時流的ムーブメントに乗り勢力を急速に拡大していく。 メイル・カハネ Never Again(二度と起こすな)はJDLのスローガンだ しかし反共とユダヤ人民族主義に裏付けられたカ