いまや「頼んでから30分以内」に届くのが当たり前になりつつあるピザ。 エビマヨネーズやら照り焼きチキンやらパイナップルやら、これピザの具?と言いたくなるトッピングさえスタンダードになってきた。 しかし、「おいしいもの」のためならば万難を排し地の果てまでもゆく情熱に溢れた食エッセイの名手、平松洋子さんが「これぞ東京のすごい味です!」と胸を張ってオススメするのは、スタンダードだけを提供する、東京は中目黒に店を構える「聖林館」のピッツァ。 この聖林館、多様化するピザ文化(?)にあらがうかのように、ピッツァメニューにはマリナーラとマルゲリータの2種類しかない。 20年前に聖林館の前身「サヴォイ」を訪れたとき最初に受けた衝撃はいまでも忘れられないといい、この時の印象を平松さんは『日本のすごい味 おいしさは進化する』のなかでこう綴っている。 「中目黒に石窯で焼くピッツァを出す店があると聞いて出かけると