横綱白鵬(33=宮城野)が驚異の粘り腰で全勝を守った。西前頭2枚目北勝富士に押し込まれたが、土俵際で左脚、さらに右脚だけで残って突き落とし。物言いがついたが、軍配通りに白星を手にした。連勝記録を63で止められた宿敵であり、盟友でもあった稀勢の里引退の日。自らを「託された者」と呼び「引退、負けは死ぬってこと」と表現する横綱の責任を、執念で体現してみせた。 ◇ ◇ ◇ 必死の攻防だった。若い北勝富士の圧力に、白鵬が耐える。左右の張り手を8発見舞っても、押し込まれた。そこからだった。絶体絶命の土俵際。左脚1本で残りながら、左脚1本で立ち、勢いあまった北勝富士を泳がせた。すかさず残り脚を右に替え、相手が落ち行く姿を確認してから、外に出た。 「まあ、稽古のたまものだよね」。軍配は自分に上がったが、もの言いがついた。「見ていて(相手が宙に)飛んでる感じがあったんで、悪くてももう一丁かなと」