20世紀の音楽界に君臨し、“デューク(公爵)”と呼ばれたジャズ奏者はかつて、こんな言葉を残した。「音楽にジャンルはない。グッドミュージック、バッドミュージック、それだけ」。いま、角野隼斗ほどこの言葉を体現するアーティストがいるだろうか。 2018年、国内最大級のピアノコンクールである「ピティナ・ピアノコンペティション」優勝後、ピアニストとして活躍する一方で、東京大学情報理工学系研究科を卒業。フランス音響音楽研究所 (IRCAM) で自動採譜の研究に従事するなど、工学研究者としての顔も併せ持つ角野。Cateen名義で展開するYouTubeチャンネルでは、ジャズ、ポップス、アニメ・ゲーム音楽なども自在に奏で、登録者数77万人を誇る。クラシックで確かな位置を築きながら、ここまで多彩かつ本格的に活動の幅を広げ、それぞれの第一人者から愛されるピアニストには出会ったことがない。 そんな角野が7月、「シ