RESEARCH 生きものの多様性を支えるゲノムの水平伝播 板谷光泰慶應義塾大学先端生命科学研究所 種を特徴づけるゲノムを一つの細胞に納めるとどうなるだろうか。土壌で暮らす枯草菌に、水中で光合成をするシアノバクテリアのゲノムを丸ごと入れてみた。 枯草菌とシアノバクテリアのゲノムは、動物に例えるとクラゲとチョウほど離れている。それほど異なるゲノムが一つの細胞に納まったとき、細胞の中では何が起こるのか、全く異なる遺伝子ネットワークが一つの細胞内で長続きできるのか、新しい種としての変化が生まれるのだろうか、次々に生まれる問いを解析した。 1.DNAの垂直伝播と水平伝播 地球に暮らす生物は例外なく細胞からなり、その中に必ずゲノムが入っている。ゲノムとは生物がもつ遺伝情報の全体を意味し、DNAという物質として細胞の中に存在する。DNA中に並ぶATGCの4種類の塩基からなる配列がRNAへ写し取られ、タ
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