東日本大震災の被災地域で、金融機関が抱える企業向け融資や住宅ローンなどの残高が、約2兆8千億円にのぼることが金融庁のまとめでわかった。焦げ付きによる損失がふくらむ恐れがあるため、金融庁は、銀行などに公的資金を使った資本増強を促す方針だ。 銀行、信用金庫、信用組合の営業店の2010年9月末残高をまとめた。対象地域は、岩手、宮城、福島の3県のうち、(1)海に面している(2)東京電力福島第一原子力発電所事故で計画的避難地域に指定されている――のいずれかの条件にあてはまる39市区町村。 大企業と中堅企業向けの融資が1800億円、中小企業向けが1兆4300億円、住宅ローンは9400億円。その他、自治体向けなどが2300億円ある。 こうした融資を受けている中には、事業再開のめどが立たない企業や、家屋が津波に流され、避難生活を続けている個人も多い。事業復旧のために新たに借金をし、「二重ローン」に陥
政府は18日、東日本大震災で甚大な被害を受けた農林水産業の復興の基本法となる「新たな食料供給基地建設のための特措法案(仮称)」の概要をまとめた。国と地方が協力して「復興再生計画」を策定し、津波被害を受けたエリアを「都市地域」「農林業地域」「漁業地域」に再編。市街地を安全な高台に造るとともに、被災した農地や漁港を集約し、大規模化を図る。 政府は東北地方の再建に向け、基幹産業である農業・漁業の復活が欠かせないと判断。農林水産業に特化した基本法を制定することにした。被災地域を新たな「食料供給基地」と位置づけ、点在する漁港の集約や加工を含めた水産基地の再編、農地の大規模化と生産体制の強化、物流ネットワークの整備などを打ち出したい考えだ。 エリアの再編のため、被害地域を一時国有化することも検討課題となる。計画の実施には都市計画法や農地法など現行法の規制緩和が必要となる見通しで、関連法案の一括提出も検
東日本大震災や東京電力福島第一原発事故で海外からの旅行者が激減し、千葉県内のホテル業界を直撃している。 千葉市中央区の「ホテルグリーンタワー千葉」は18日、7月末で営業を終了すると発表した。成田空港周辺のホテルも打撃を受け、業界団体の調べでは県内での宿泊予約キャンセルがおよそ4万人に達するなど、深刻な影響が広がっている。 ホテルグリーンタワー千葉(270室)は、オフィス棟やアリーナで構成する「千葉ポートスクエア」の一角にある。運営会社のグリーンタワー(同市美浜区)によると、福島第一原発事故が長期化する中、主要顧客だった中国や台湾からの観光客が激減し、営業の見通しが立たなくなった。取引先の旅行会社二十数社が宿泊予約をキャンセルするなどし、売り上げは前年比6割減に落ち込んでいたという。 同ホテルは、建物を所有する民間会社から賃借して2003年9月に営業を開始。駅から遠い立地を成田空港利用の外国
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北里大の学生が暮らしていたアパートも津波で跡形もない。わずかに玄関のタイルだけが残っていた=岩手県大船渡市三陸町越喜来で、佐藤敬一撮影 東日本大震災は大学生のキャンパスライフも打ち砕いた。岩手県大船渡市三陸町越喜来(おきらい)に三陸キャンパスを置く北里大海洋生命科学部は今年度から4年間、神奈川県の相模原キャンパスで授業を行うことを決めた。豊かな海が広がる充実した研究環境から離れることに、学生たちは「残念」と口をそろえる。約570人の学生を一度に失う地元も、早期の授業再開を強く望んでいる。 【大船渡市三陸町の写真】全壊した大船渡市立越喜来小 三陸キャンパスは72年開設。1年生が相模原市、2〜4年生が大船渡市で学んできた。北里大によると、学生のアパートの多くが被災し、校舎も耐震性を検査する必要があることから、相模原行きを決めた。4年後に大船渡市に戻るかどうかは未定という。 3年の竹内龍太
体に備わる免疫の仕組みを使いがんをたたくがん免疫薬「オプジーボ」などの効き目を予測し、過剰な投薬を避けるための研究が相次いでいる。東北大学などは免疫細胞が分泌する特定の分子ががんの…続き 磨いた「確信」 がん克服に光 本庶氏ノーベル賞授賞式 [有料会員限定] がん免疫薬、投与の「やめどき」研究へ 全国40病院 [有料会員限定]
中小企業庁は11日、東日本大震災被災地の中小零細企業に貸し出す仮設の工場や店舗を整備すると発表した。貸し出しは原則無料。早期の事業再開を望む強い声があることに応えた。 中小企業基盤整備機構(中小機構)が地元自治体から提供された用地に、プレハブの工場や店舗を建設。自治体が中小企業に貸し出す。建設費は一棟500万〜3千万円ほどで、中小機構の予算を使う。 中企庁や中小機構は同日、職員計43人を被災地に派遣。中小零細企業の要望や用地確保などについて調査を始めた。調査は1、2週間で終える予定で、5月以降に仮工場・店舗の完成を目指す。
金融庁は11日、東日本大震災の被災地にある金融機関に公的資金を入れた場合、返済期限を延長する検討を始めた。今の「15年以内」を10年ほど延ばす。復興に必要なお金を長期にわたって貸し出せるよう、負担を軽くするねらいだ。 金融庁は金融機能強化法の改正案を今国会に出し、被災地の金融機関が公的資金を申請する場合の特例を設ける。これまでに、経営者の責任を問わないことや、2012年3月としている申請期限を数年間延長することを検討している。 さらに、返済期限を延長する▽申請時に出す経営強化計画の期間を3年から数年延ばし、収益の回復に時間がかかってもよくする▽融資のうち中小企業向けの割合を高くするという目標を緩める、などを検討し始めた。改正案や政令改正に盛り込む方向だ。 これらの特例は、公的資金を申請しやすくするねらいがある。公的資金で被災地の金融機関の資本を手厚くするなどして、被災した企業や個人に
準備が整った宮古市魚市場。午後に魚の水揚げと競りが予定されている=11日午前6時31分、岩手県宮古市、樫山晃生撮影「がんばるだけですから」と話す大井誠治さん=11日午前、岩手県宮古市の市魚市場、長野写す 大きな被害が出た岩手県宮古市の市魚市場が11日、再開した。「宮古は水産業をあきらめない。そんなメッセージを一刻も早く全国に発信したい」。震災から1カ月での復活には、漁協組合長の強い思いがあった。 この日は、朝から近郊の港で揚がったタラなどが競りにかけられる予定だったが、陸送トラックのタイヤがパンクして来られなくなったため、急きょ中止に。午後に、宮古漁協所属のトロール船などでとれた魚の水揚げと競りが予定されている。 市場を運営する宮古漁協組合長の大井誠治さん(76)は「少し残念だけど、焦りはない。まずはきょう、市場の再開を果たせたことを喜びたい」と話す。 震災が起きた先月11日。大井
20年以上前になるのだが、学生の頃にチェルノブイリ原子力発電所事故が起きた。 私はすでにスリーマイル島(TMI)原子力発電所事故の経験を経て原子力というものに疑問を持っていたのだが、チェルノブイリはハッキリと原子力反対、へと押しやった。当時、物理学科の仲間にもそうした意見を表明する者も少なくなく、我々はささやかではあるが「反原発」活動を始めた。 今でも鮮明に覚えているのが、学科の教授達を交えた討論会で、学生・教員の区別無く「原発は是か非か」について話し合った。 意外というべきか、教授の中にはハッキリと反原発の立場に立つ先生もいた。核物理の教授は「原子力は必要だ。安全措置を施してある日本の原発で事故が起きることはありえない」と述べた。 だが、大方の先生の意見はこうだった。 「原子力は既に電力の4分の1を占めている。代替手段が無ければ原子力は仕方がない」 つまり、消極的賛成、という事だ。 その
東京電力の福島第一原発事故を受け、「2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する」という政府目標が揺らいでいる。二酸化炭素(CO2)を排出しない原発に依存した温暖化対策が難しくなったためだ。一方、民主党内で7日、再生可能エネルギー推進チームの発足が決まるなど見直しに慎重な声もあり、目標が全面見直しに進むかは不透明だ。 バンコクで3日から開かれている地球温暖化対策の国連会議。各国は自国の削減目標を、いかに達成するかをアピールした。しかし、日本政府代表は「地震が温暖化政策に与える影響を見極めるのは時期尚早」と述べるにとどめ、25%目標には触れずに終わった。南川秀樹・環境事務次官は記者団の取材に「25%も議論の対象になる」と見直しを示唆した。 政府が目標に触れられなかったのは、これまで温暖化対策の切り札と位置づけてきた原発の新増設の見通しが立たなくなったためだ。昨年6月にまとめ
東日本大震災後の電力不足による停電を避けるため、業界ごとに休日を定めて節電する手法を日本自動車工業会が検討していることが7日分かった。他の業界にも協力を呼びかける。 経済産業省は東京電力管内の大企業に、ピーク時の最大使用電力を前年比25%減らすよう求める方針。産業界としても具体的な節電策を打ち出す狙いで、近く経産省などに提案する。 自工会が検討する「輪番休日」は、業界ごとに一斉に休む曜日をそれぞれ決めて、それ以外は土日も含めて操業する仕組み。平日の操業を減らして土日を増やし、電力使用を平準化。ピークを小さくする。 自工会は、業界内で各企業がそれぞれ操業日を調整しても節電の効果が出にくく、業界ごとに一斉に休む日を設けた方がいいとみている。(宮崎健)
福島第一原発の事故で、風評被害に苦しむ農家を支援しようと、全国農業協同組合中央会などは7日、東京都千代田区大手町のJAビルで、福島や群馬など計6県で生産された野菜の即売会を開いた。 この日用意されたのは、キュウリやホウレンソウ、小松菜、トマトなど計8品目で、1袋100円。休憩中のサラリーマンらが次々と会場を訪れた。ホウレンソウなどを購入した東京都八王子市の会社員川口禎子さん(28)は「市場に出回っている野菜は問題ないはず。風評被害を受けている人を支えたいと思い、足を運んだ」と話していた。 野菜の売上金は東日本大震災の被災地に義援金として送られる。即売会は14日にも、午前11時から午後1時半まで同じ場所で行われる予定。
キリンビール仙台工場の入り口周辺には、流されたビールのたるなどが散乱していた=21日、仙台市宮城野区、福間大介撮影ビール大手4社の主な大型工場の被災状況 東日本大震災で、ビール大手の主力工場が稼働停止や生産減を余儀なくされている。復旧のめどがたたない工場も多く、今夏の供給不足が懸念されている。 「商品の受注や出荷を一部停止し、ご迷惑をかけた」 30日、東京都内で開かれたサッポロホールディングスの株主総会で、村上隆男会長は株主にこう陳謝した。 子会社サッポロビールは、東日本のほぼ全域に行き渡るビール、発泡酒、第3のビールを生産する宮城と千葉の2工場が被災した。北海道が発祥の同社はもともと東北地方に強い営業基盤をもっている。だが、仙台工場は復旧のめどがまったくたたないうえ、28日に再開した千葉工場も缶詰め作業のみで、ビールの生産はまだ先だ。 国内首位のアサヒビールも福島と茨城両県の2
岩手県宮古市では、津波で打ち上げられた漁船が市の中心部に多数残っている=25日、相場郁朗撮影集落の奥から海の方を望む。防潮堤(奥)を越えてきた津波で建物はみな破壊され、ひっくり返った船が、がれきに埋もれていた=27日午後、岩手県宮古市の音部里集落、井上写す 岩手県内の24漁協に昨年末時点であった約1万4200隻の漁船のうち、東日本大震災後に残っているのが確認できているのは、現時点で4%に満たない500隻程度であることが、朝日新聞のまとめでわかった。大半が津波で流されたり壊されたりしたとみられる。 県などによると、もともとあった漁船の多くは、アワビやウニ漁、ワカメの養殖などに使う小型のもの。無事だったのは、沖に避難した大型船などごく一部とみられる。 特に津波被害が大きかった南部の沿岸では、大船渡市内の4漁協で3千隻弱あった漁船が30〜40隻程度しか残っていないほか、陸前高田市でも、広田
別れを惜しむ第71大喜丸の前田晃寿船長(左端)とインドネシア人乗組員たち。右端は前田船長の妻美保子さん=宮城県気仙沼市、岩田写す冗談を言い合って別れの時を惜しむ、第71大喜丸の前田晃寿船長(手前)と、インドネシア人の船員たち=宮城県気仙沼市、岩田写す 大津波は水産業の現場を支えてきた外国からの研修生や実習生の人生も、一変させた。津波に漁船や工場がのみ込まれ、働く場をなくした人たちは涙ながらに帰国した。漁船で沖に出たまま、行方が分からない人たちもいる。 「元気でね。泣かないの」。宮城県気仙沼市の水産加工会社大島水産で働く伊藤あつ子さん(60)は、握った手を離そうとしない中国人研修生、李怡(リー・イー)さん(26)を抱きしめた。震災後、不安げな姿を見て、伊藤さんは避難所の同じ教室で寝泊まりしてきた。「ずっと一緒にいてくれた。お母さんみたいな人。離れたくない」。李さんは泣いた。 帰国のため
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