オーデッド・シェンカー著『コピーキャット:模倣者こそがイノベーションを起こす』(東洋経済新報社)を手に取ったとき、これはてっきりサムスン電子のケーススタディ本かと思った。ところが本の中にはサムスンはほとんど登場しない。意図的に隠しているのかと思ったほどだ。 シェンカーは、イノベーションとイミテーションを融合する企業のことをイモベーター(Immovator)と定義しているが、以下の記述などはまさにサムスンの特徴そのものだ。 「(イモベーターは)模倣の特性を進化させて活かす能力を持っている。幅広い探索をリアルタイムで行う能力、複数のモデルを組み合わせる能力、製品やモデルと市場との対話を理解する能力、目まぐるしく変わる環境に合わせながら素早く効果的に実行する能力がそうだ」(第1章18頁) シェンカーは、「模倣は希少で複雑な戦略能力であり」「イノベーション創出に不可欠な要素である」ことを出発点とし
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