ジョルジュ・サンドの館はパリから270キロメートルほど南下したフランス中部、ベリー地方の Indre 県に現存する、サンドが少女時代を過ごした父方の実家です。ショパンは1839年からサンドと別れる1846年まで、7回の夏をこのノアンの館で過ごし、豊かな自然の中でサンドの愛情に包まれ、全体の3分の2に及ぶ作品を残しました。ノアンの館はショパンにとって、社交界での複雑な人間関係から解放される一種の安全地帯であり、パリの喧騒を離れて作曲に没頭できる創造のアトリエでした。ショパンの芸術はこの館で昇華されたといっても過言ではないでしょう。ショパンと共に、サンドはこの館に時を代表するさまざまな芸術家や文化人を迎え、親交を深めていきました。