陸前高田市の被災松を焚(た)くかどうかで二転三転した京都の「五山送り火」。被災地側で取材した記者として立ち会った。当初燃やされる予定だった薪(まき)に記されていた被災者のメッセージが書き写された護摩木約900本も燃やされ、古都の夜空を照らした。 一夜明けた17日、陸前高田の鈴木繁治さん(66)に電話をかけてみた。被災地で当初、メッセージを書いた松の薪を京都に送る計画を呼びかけた人だ。 テレビで送り火を見たといい、「高田を思っていただき、皆さんにありがとうと言いたい」と話した。ただ、「それぞれの方がそれぞれに思ってやってくれたことが、放射能でかき消されてしまった。陸前高田に放射能があるというイメージを広げてしまった」との思いは消えないようだ。 大文字75カ所に並べられた組み木の一番上にはのしで包まれた護摩木が2束ずつ乗せられていた。「ねえちゃんの料理 美味(おい)しかったな 見守って下