竹内洋『社会学の名著30』(ちくま新書)を拾い読みしていて、ここで紹介されているイヴァン・イリッチ『脱学校の社会』(原著1970、邦訳1977)という本に興味を持った。 <イリッチは、子どもは学校に所属し、学校で学び、学校でのみ教えられうるということが近代社会においては疑いのない前提になり、望ましく、善き事とされているが、その前提について大きな疑問を投げかける>。 学校を教育と同一視する「教育の学校化」によって、次のようなことが起きる。 <教授されることと学習することを混同し、進級することがそれだけ教育を受けたことに、免状を取得すれば能力があるとみなすようになる。多くの人が学校で教育を受けることによって、自分よりよけい学校教育を受けたものに対して劣等感をもつようになってしまう。われわれが知っていることの大部分は、学校の外で教師の介在なしに「話し、考え、愛し、感じ、遊び、呪い、政治をし、働く