消費者に対する広告媒体者の法的責任 弁護士 川 村 哲 二 ※これは平成22年8月23日付メディア総合誌「文化通信」掲載 記事で、承諾を得て掲載しています。無断転載を禁じます。 はじめに 新聞や雑誌の広告を見て商品を購入したが、広告内容が虚偽であったため購入者が損害を受けた場合、広告主とは別に広告媒体である新聞社、出版社や広告代理店は購入者に対して法的な責任(損害賠償責任)を負うか、という問題は以前から論じられてきた。 通常そのような場合、広告主への賠償請求のほうが容易だが、現実には広告主の倒産や無資力などの理由で被害救済が期待できないことも多い。私がこれまでに関与した消費者被害事件、特に悪質な詐欺的業者の事件では業者は倒産状態であることも多く、被害者救済のため、広告媒体者や広告出演者に対する損害賠償請求を検討することも珍しくない。しかし現実にはこのような責任が認められないことが多かったの