中小企業は大企業に比べ体力が弱く生産性も低い――。多くの人はそう考えている。だが、技術力や革新性などで大企業より先進的な中小企業を探すのは難しくない。その代表格が、コロナ禍で日本を救った、新潟のツインバード工業だ。 新型コロナウイルスの収束に向けて欠かせないとされるワクチン接種。菅義偉首相は1日当たり100万回を目標に掲げ、遅ればせながら日本でも7月23日からの東京オリンピック・パラリンピック開催を前に接種が進んでいる。このコロナ用ワクチン、当初は供給面で大きなボトルネックを抱えていた。それは、ワクチンによっては零下数十度という超低温での管理が必要なことだ。 ワクチンを国中へ普及させるには、庫内温度を安定的に超低温に維持する機能と、全国津々浦々まで運搬できるコンパクト性を兼ね備えた特殊な冷凍庫が必要になる。一般人には用途すら思い浮かばないそんなマイナーな機器を迅速に増産し、国難の打開に一役
昨年末、『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』の初刷りが出た時点では、第3波の到来が言われ始めたものの、現状のような急拡大は予想されていませんでした。 本書の主張は「感染症の対策はその社会の状況に大きく依存する」(170ページ)です。感染が拡大していなければ徐々に緩め、急拡大しそうならば思い切って強化する。社会も、個人も、煽らず、冷静に、たんたんと対応することが重要、と峰宗太郎先生は訴えています。 さて、現状はどうでしょう。どのくらいの対策、心構えが必要なのか。ネット越しで峰先生に伺ってみました。(編集Y) 編集Y:緊急事態宣言が出ても新規感染者数がまだ減らず、重苦しい状況が続いています。Twitterを見ていたら、食事中の会話を避けるために、「今こそひとりメシ」というか『孤独のグルメ』しよう、というツイートがありまして。例によって私、こちらのマンガの初版以来のファンでもちろん松
新型コロナの感染拡大の状況やその対策は、地域ごとに大きく異なる。日経ビジネスの4つ海外支局が、お互いに他地域への疑問や質問を投げかけてみた。このQ&Aシリーズの第3回は米国。 米国編の本編「マスク拒否は『権利』、政治信条が招いた米国の感染拡大」はこちら。 Q1:米国には世界一とされる感染症研究機関があるのになぜ機能しなかったのか。 A1:確かに米疾病対策センター(CDC)は感染症では世界一の研究資源を持つ機関として知られている。ただどんなに優れた研究所が国内にあっても、ウイルスの感染拡大を防ぐには国民の行動をどう統制していくかが重要になる。 米ハーバード大学薬学部のアサフ・ビットン准教授は、CDCが力を十分に発揮できなかった理由を「新型コロナ対策の陣頭指揮を誰が執るのかがあやふやなままだった。どの専門家の言うことを信じればいいのかが国民に明確ではなかった」ことを挙げる。 トランプ大統領の支
新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる米中の舌戦の流れが少し変わってきた。5月7日、中国外交部報道官は「米国国民が新型コロナウイルスとの戦いに迅速に勝利することを望む」と語り、それが見出しとなって中国国内のネットに流れた。翌8日、劉鶴副総理は米国のカウンターパートであるロバート・ライトハイザー通商代表部代表およびスティーブン・ムニューシン財務長官と電話会談を行い、マクロ経済と公共衛生の分野で協力を強化することを語り合った。 コロナ後の世界について様々な推測がなされているが、米中関係がどういう形に落ちつくのかが決定的に重要な意味を持つことは明らかだ。米国の動きが全体の流れを決めるカギになるが、中国の現状認識および今後の戦略と対応も、その次に重要となる。中国が現状をどう眺め、どう対応しようとしているのか。中国の判断と対応は、どう評価されるべきものなのか。本稿で眺めていきたい。 感染抑え込みに成功
新型コロナウイルスの感染拡大は人々の生活を一変させた。収束後もすべてが元に戻るわけではなく、人、企業、国などが営みを続けるうえでの新たな「常識」となって定着しそうなものも多い。各地で芽吹いている「ニューノーマル」を追う。今回のテーマは「中国と距離を取る欧州各国」。 これは欧州各国の首脳にとって頭の痛い問題だ。独裁政権であるため情報公開や人権などの観点で欧州の価値観と相いれない部分が多いが、経済的には非常に重要なパートナーである。ローディアム・グループの調査によると中国から欧州連合(EU)への投資は2010年代に急増し、19年までに総額でおよそ1600億ユーロ(18兆4000億円)に達する。 欧州経済は外需でもインフラ投資でも中国への依存度が高いため、これまでは多分に遠慮があったが、新型コロナの感染拡大を受け、風向きが変わりつつある。 4月、フランスのマクロン大統領は厳しい言葉で中国を批判し
イタリアは2月から新型コロナウイルスの感染が急拡大し、患者が病院の受け入れ能力を超えるような「医療崩壊」が起き、死亡者が急増する危機的な状況に追い込まれた。同国はEUに医療防護具などの支援を求めたが、「EUのどの国も応じなかった」とイタリア出身のマッサーリEU大使は言った。フォンデアライエン委員長は全面的に非を認め、公の場でイタリアに謝罪した。 当時はEU各国でも感染が広がり始め、イタリアを支援する余裕がなかったのは確かだ。ドイツやフランスはマスクなど医療防護具の禁輸措置を取るなど、自国民の保護を最優先していた。 実際、スウェーデンのヘルスケア会社、メンリッケがフランス経由でイタリアとスペインの医療従事者にマスクの供給をしようとしたところ、フランス政府から輸出を禁じられ、マスクを押収されたという。同社はフランス政府を非難している。その後、問題は解決したが、フランスとスイスの間でも同様の問題
「最初は誰かが銃で撃たれでもしたのかと思いました」 米オハイオ州コロンバスからニューヨーク市に21日間限定の「助っ人」としてやってきていた看護師のブルックリン・ヘイゼルさん(31歳)は、2020年4月22日に迎えた最終日の様子をこう振り返って笑う。ヘイゼルさんが勘違いしたのは、勤務を終えて病院の外に出ると、消防車やパトカーが何台も並び、大勢の警官や消防士たちに出迎えられたから。 「でもそこにいたテレビ局のリポーターが、皆、あなたたちにお礼を言うために集まっているんだよ、と教えてくれました。田舎町から出てきた私にとっては信じられない光景でした」 助っ人看護師たちが乗り込んだバスはその後、まるで大統領でも乗せているかのようにパトカーに先導されて市内を移動した。 4月27日現在、新型コロナウイルス感染による死者数が5万5000人を超えた米国。中でもニューヨークは他に類を見ない感染爆発を経験し、同
新型コロナウイルスの感染拡大によって、日用品や家電などだけではなく、医薬品や医療機器の分野でも中国依存が白日の下にさらされた。まさに「医療の安全保障」が焦点になることを前稿「半導体、アビガン……新型コロナ経済対策の裏で安全保障の米中激突」で指摘した。その後、日本政府もこの問題に危機感を抱いて動こうとしている。さらに踏み込んで見てみよう。 医療の買収阻止に手を打つ 新型コロナの感染拡大が、やっと政府を目覚めさせたようだ。政府は高度な医薬品や医療機器の分野で外資による買収阻止に動き出した。2019年秋に成立した改正外為法では、安全保障上、特に重要な業種を「コア業種」として厳格な審査の対象にしている。このコア業種に感染症の治療薬や人工呼吸器などの高度な医療機器を追加するため、5月に告示を改正する。 もちろん念頭に置いているのは中国企業による買収だ。医薬品や医療機器に関連する企業を中国企業に買収さ
中国に次ぐ新型コロナ危機の第2の震源地・欧州では、今なおウイルスの拡大が止まらない。そうした中でドイツが死亡率を低く抑えている背景には、同国のウイルス学の専門家たちが、未知のコロナウイルスによるパンデミックを想定したリスク分析を8年前に公表し、政府や議会に警鐘を鳴らしていた事実がある。 今回の新型コロナ危機では、ドイツの対応が世界の注目を集めている。ジョンズホプキンズ大学によると、ドイツの新型コロナウイルス感染者数は約14万5000人と、欧州で3番目に多い(4月20日時点)。だが同国の死亡率は3.2%と、フランス(12.8%)、イタリア(13.2%)、英国(13.3%)、スペイン(10.3%)などに比べて大幅に低い。 死亡率が低い理由は、同国の「パンデミック迎撃態勢」が他国に比べて整っていたことだ。たとえばドイツには今年3月初めの時点で、人工呼吸器付きの集中治療室(ICU)が2万5000床
イタリア政府は3月11日、新型コロナウイルスの感染者が1万2462人、死者は827人になったと発表した。致死率は6.6%で他国より突出して高く、修羅場と見られた中国・武漢より高い。重症の感染者に医療現場が対応しきれず、医療崩壊が起きているようだ。 だが、コンテ伊首相が9日夜に、10日から移動制限を北イタリアから全土に拡大すると発表。国民に外出を控えて自宅で過ごすように要請し、「国民全員が協力して、厳格な規制に対応してほしい。私たちにはもう時間がない」と訴えかけた。飲食店は営業時間が午前6時から午後6時に制限され、客も1メートル以上の間隔を保たなければならない。 移動制限を打ち出した後は、街の人出が激減。道路や公園などがガラガラになった。ミラノ在住の日本人は、「出かけるのも気が引ける」と話す。スーパーマーケットは混乱を避けるために入場制限を実施しており、その外では列ができていた上に、1メート
その血を飲めば、未来永劫(えいごう)生きられる幻の鳥を追い求めた人々の生き様を主題にした故・手塚治虫氏の『火の鳥』。永遠の命を求め宇宙を旅する少年の成長を描いた松本零士氏の『銀河鉄道999』……。不老不死(超長寿命化)もまた、昭和の時代から様々なSFやアニメで表現されてきた人気のテーマだ。 かつては空想の産物と思われていた永遠の生命についても、ここ10年の遺伝子工学や生物工学の発展に伴い、本気で追求する動きが世界で目立つ。2013年、米グーグルの共同創業者ラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO、当時)らが米サンフランシスコで創業したカリコはその1つ。「老化の原因を突き止め、対処する長期プロジェクト」の遂行が目的だ。 1つの可能性として挙げられるのが、超小型の機械「ナノマシン」の活用。発想自体は古く、米科学者のキム・エリック・ドレクスラー氏が1986年に発表した書籍『創造する機械』などが始まり
専制と民主、どちらの対策が有効か 新型コロナウイルス(COVID-19)のまん延とその対策について、昨今の中国では「これは専制と民主のどちらが優れた政治体制か、判断する絶好の機会だ」といった趣旨の議論が出てきている。言うまでもなく、中国と日本の感染対策を比較してのことである。 中国では発生地の武漢を含む湖北省を除けば、感染拡大の抑制にほぼ成功しつつあるかに見える。中国国内では積極論が勢いを増しており、街には活気が戻りつつある。それにともなって逆に関心を高めているのが日本での感染の広がりだ。日本社会の危機意識の薄さ、根拠なき(と中国人が感じる)楽観に中国の人々は驚き、中国と日本の政治体制の違い、人々の行動様式の違いの比較といったあたりまで話題は広がりつつある。 一言でいえば、人々の「社会不信」「他人不信」を管理すべく、専制政治、「監視国家」路線を取る中国と、少なくともこれまでは社会の信頼感や
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く