今週のNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」。 戦時体制での政府や軍の愚かさや非情さを克明に描いている。今週始めのドラマでは、戦時中に流れていたラジオ放送が登場したが、当時は実際にこんな放送が行われていた。 「空襲はさほど恐ろしいものではないと?」 「そうです。爆弾というものはそれほど当たるものではありません。むしろ防空活動をおろそかにして街を焼けるにまかせる方が恐ろしい。敵の思うツボですから」 東京を始めとする大空襲で大勢の市民が犠牲になった背景に、当時の政府による「無謀な」指示や指導があったことをうかがわせる。 今週の「ごちそうさん」は、実はテレビドラマの歴史上で画期的なものだといえる。 戦時中の政府や軍による「愚かな政策」によって、空襲における市民の犠牲者が膨大になってしまったという過去の歴史を直視し、空襲における国などの無策をこれほど明確に示したことはテレビドラマではかつてない。 「
2013年02月15日00:51 戦前は学校でも軍隊でも体罰が絶対禁止だった 拙著『戦前の少年犯罪』の参考文献にも使った江森一郎『体罰の社会史』なんかを基に、欧米のように殴ったりせず子どもをのびのび育てる日本の江戸時代からの伝統をまとめた「日本の体罰の前史」というページがあるんですが、途中で戦前には体罰がなかったとかあったとかいう妙な話になっています。 我が国の歴史の基本的な処がこうも混乱したままで、正しい日本像が日本人に共有されていない状態では困りますので、整理しておきます。 戦前にも体罰はありましたが、戦前は体罰が絶対悪で、明確に「犯罪」として処理されていたのです。 なんか、戦中は違うと読み取る方が多いみたいなので、念のため書き加えておきますが、戦時中も体罰が絶対悪で、明確に「犯罪」として処理されていたのです。 変わったのは戦後になってからです。 戦前の新聞を読んでいる方なら、教師が生
2013年02月04日23:58 戦前の体罰論 戦前は体罰が厳しく禁止されて、すべて犯罪として処理されていました。しかし、多少はやってもいいのではないという主張も一方にはありました。 たとえば、皇室教育にも携わった高名な教育家である湯本武比古の「体罰の必要」(『実業之横浜』明治43年5月号) はこんな具合です。 余は打擲のごとき蛮手段はこれを厳禁し、直立の如き身体的痛苦、または居残りの如き自由制限に基づく痛苦のごとき、あるいはベーンの電気採用の如き手段は、場合によりて校長教員の公然採用し得ることを認め置く必要が有ると思う。 理性の未だ発達せず無邪気にしてしかも手に合わぬ悪太郎は、叱責や脅嚇や、いわんや訓戒などで精神的痛苦を感ずるものでない。これには身体的痛苦を与うるのは避け難いことである。 「体罰の必要」と云っても、殴ったりすることは「蛮手段」として厳禁することを前提としています。 「ベー
2012年11月20日23:58 美しい日本を取り戻しましょう 最近は赤ちゃんが泣くことにやたらと騒ぐ大人がいるみたいで、日本の美しい伝統もここまで廃れてしまったのかと心が痛みます。ドナルド・キーンさんの『果てしなく美しい日本』を朝夕毎日、声に出して読んで、美しい日本の伝統を取り戻しましょう。 以下に引用する部分の日本語版が出たのは昭和48年ですが、原著である『Living Japan』を米国で出版するため執筆したのは1958年ですから(刊行は翌年)、まさしく映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の舞台となった昭和33年の果てしなく美しい日本の姿です。 幼い子供であるには、日本はすばらしい場所である。(中略) 両親は「子宝」を艱難から守るためには、いかなる犠牲をも惜しまない。彼らは子供の幼年時代を幸せなものにしようと固く決心し、そして、全日本が彼らの努力に荷担する。混み合った電車の中では、見知
アルバイトがTwitterで悪ふざけした写真を投稿する“バイトテロ”や、相次ぐ食品偽装に対し、「日本人のモラルが低下した」と嘆く人は多い。なかには「戦後の民主主義教育のせいだ」「戦前の日本人はすばらしい道徳心を持っていた」と言う人もいる。だが、それは果たして本当なのか。そう疑わずにいられなくなる本が、『「昔はよかった」と言うけれど 戦前のマナー・モラルから考える』(大倉幸宏/新評論)だ。というのも本書には、現代人なら仰天必至の、戦前の日本人のマナーの悪さ、モラルの欠如が露わになっているからだ。 たとえば、多くの人が行き来する駅や電車の中でのマナー。現代は混雑するホームで列をつくって電車を静かに待つ日本人の姿に、外国人から「さすが礼儀正しい」と称賛の声があがるが、大正時代のその光景は“傍若無人の見本市”。1919(大正8)年に発行された電車でのマナー向上のための小冊子には、「無理無体に他を押
第2次世界大戦(World War II)中のノルマンディー上陸作戦で、仏西部ノルマンディー(Normandy)に上陸する米兵たち(1944年6月6日撮影、資料写真)。(c)AFP 【5月27日 AFP】(一部更新)第2次世界大戦(World War II)中の仏ノルマンディー(Normandy)上陸作戦に参加した米軍兵士たちは、フランスをナチス・ドイツ(Nazi)から解放した勇敢な英雄として描かれてきた。そうした「若いハンサムな米兵さん」のイメージに隠された負の側面を明らかにした研究書が来月、米国で出版される。 6月に刊行予定の「What Soldiers Do: Sex and the American GI in World War II France(兵士らは何をしたのか:第2次世界大戦中のフランスにおける性と米兵」は、米ウィスコンシン大学(University of Wiscon
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アベノミクス指南の「キモ」 主眼はミクロでなくマクロ政策。インフレ「予想」を高くせよ。雌伏6年、高橋教授が日銀の外堀を埋めた。 2013年1月号 BUSINESS [金融緩和相場に号砲] 景気が冷え込んできた。財務省と内閣府が12月10日、発表した法人企業景気予測調査(10~12月期)によると、企業の景況感を示す景況判断指数(BSI)は2期ぶりに悪化した。2012年度の売上・経常利益は下方修正され、設備投資計画も大幅下方修正だった。総選挙で政権交代が確実視され、安倍晋三自民党総裁率いる政権が復活する見通しだけに、第二次安倍政権の経済運営(アベノミクス)はどうなるだろうか。筆者は06~07年の第一次安倍政権で、総理大臣補佐官補として官邸勤めした経験がある。ある時、筆者がマスコミのインタビューに答えて「安倍氏は各省がやる細かなミクロ的な経済政策というより、国の全体にかかるマクロ経済運営をみてい
なぜか真逆の意味で引用する片山先生 片山さつき先生が大変面白いツイートをされています。 片山さつき認証済み @katayama_s @taiyonokokoro50国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です。国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文にしました! わかる人にはわかると思いますが、これは有名な1961年のジョン・F・ケネディ大統領の演説からの引用でしょうね。 当時、就任演説でケネディ大統領はこう述べています。 米国大使館リファレンス資料室「アメリカ早分かり」(About the USA) より 米国民の同胞の皆さん、あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。 あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい
1941年12月8日の日米開戦をめぐる新事実が明らかになった。最後通告の手直しが遅れ、米国に「だまし討ち」と非難された問題で、修正を指示する日本から大使館への電報が半日以上を経て発信されていたことを示す傍受記録が米国で見つかった。これまで不明だった発信時刻が判明。「在ワシントン大使館の職務怠慢による遅れ」とする通説に一石を投じそうだ。米メリーランド州にある米国立公文書記録管理局で9月末、記録を
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