日銀新総裁(仮)のニュースが飛び込んできました。植田和男氏、正直、ほぼ忘れてましたw。彼の主張とリフレ派の主張の違いを中心に、昨年の彼の書いた経済教室の読み方なども含めて解説します。
![日本銀行新総裁(仮)の植田和男氏って誰? 岸田検討使とアベノミクスの継続は?](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5b3a109571e05a100d3236a76a82277efcbfb468/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fi.ytimg.com%2Fvi%2FY646vFmCOPE%2Fhqdefault.jpg)
サマーズがツイッターで以下のようにクルーグマンを揶揄した。 @paulkrugman is right that measuring inflation is difficult. But he continues his pattern of choosing to emphasize issues that could lower rather than raise expected inflation. He ignored the housing issues when I and others were pointing them out last year. The same point about new transactions vs. past transactions present wrt housing applies to the labor market but
「ワニの口」という言葉がある。財務省が持ち出した話で、政府の予算である一般会計歳出と税収の差がどんどん拡大し、その差がまるで「ワニの口」のようだ、と表現するものだ。 税収よりも歳出の方が大きいので、その差は「政府の借金」である国債の発行で埋め合わせることになる。しかもこの「ワニの口」は拡大を続けている。つまり財務省は、この「ワニの口」の開き具合が大きければ大きいほど、借金漬けで日本の財政状況は深刻だ、と言いたいわけだ。 この財務省の言い分はデタラメだ。歳出をみてみると、2022年度では、国債の利子支払い分(8兆3000億円)と元本支払い分に相当する債務償還費(16兆円)が計上されている。 だが、エコノミストの永濱利廣氏が指摘するように、国際標準では、後者の債務償還費は予算に計上されていない。米国、英国、フランス、ドイツなどの主要国は、単に利払いしか計上していないのだ。
国際通貨基金(IMF)のゴピナート筆頭副専務理事は18日、日本のインフレ率は結果的に目標を下回る高いリスクがあるため、日本銀行は世界の他の中央銀行とは異なる課題に直面していると語った。 ゴピナート氏はスイスのダボスで開催されている世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に合わせてブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、「日銀は極めて複雑な決定に対処しなければならない」と指摘。日本のインフレ率は上昇しているが、世界の他の主要国・地域とは違い、「インフレ率が再び目標を大きく下回るリスクは高いままだ」と語った。 その上で日銀について、「彼らは金融政策を緩和的に維持しつつ、それが新たに発表されるインフレデータの上振れと整合的であるよう確実にするという、こうした複雑なトレードオフに対処する必要がある」と話した。 このほか、世界的な物価動向を巡っては、ヘッドラインのインフレは恐らくピ
「グローバル・インフレのゆくえと責任ある積極財政」 責任ある積極財政を推進する議員連盟 第15回勉強会 令和4年12月1日 講師 元日本銀行政策委員会審議委員 片岡剛士氏 <■議連ホームページに講演で使われた資料等掲載しています。> https://sekkyokuzaisei.jp/ ご意見も募集しています。お気軽にお問い合わせください。 【責任ある積極財政を推進する議員連盟 設立趣意書】 一令和の高橋是清、池田勇人を目指して一 我が国は平成9年をピークに経済成長が止まり、先進国で唯一、所得も上がらず、若者が将来への希望が持てなくなっている。 若年層の所得低下は少子化の最大の要因と言われており、この現状を打破し、経済が成長し、所得が上がる社会への転換を早急に実現しなければならない。 昭和4年の世界大恐慌の当時、大蔵大臣に就任した高橋是清は、金融緩和、財政出動、すなわち日銀による国債の直
今年の米国のインフレの展望の一つのよすがとして、ここで紹介した以降のクルーグマンのインフレに関するツイートをまとめてみる。 12/13 Surveys of inflation expectations aren't the most reliable indicators, since normal people don't really think in terms of a number. But for what it's worth, no sign of expectations losing their anchor 1/ And worth noting that the most salient price, gasoline, is way down. So very little reason to believe that an inflation spiral i
というBIS論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Macro-financial stability frameworks: experience and challenges」で、著者はClaudio Borio、Ilhyock Shim、Hyun Song Shin。 以下はその要旨。 Since the 2008–9 Great Financial Crisis, major advanced economies (AEs) have used monetary and macroprudential policies to achieve macroeconomic and financial stability. Emerging market economies (EMEs) have, in addition, combined interest ra
少し前にサマーズが12/3付けの自分のインタビュー動画をツイートやリツイートで繰り返しリンクしていたので(ツイートはここ、ここ、ここ、ここ、ここ、ここ)、以下にその内容をざっと紹介してみる。 賃金上昇率をどう見るか、について Look, what we saw was a seven and a half percent annual rate wage increase for the month, a six percent wage increase for the last three months and a 5 percent increase for the year. So it's high and it's rising and the labor market is strong. And we're still in unprecedented territory
岸田文雄首相は8日の政府与党政策懇談会で、防衛費増額の財源についての方針を表明した。そこで大きく注目されたのが、「増税」方針である。減税だけは全力で否定するが、増税方針は具体的に即座に決める。財務省のコントロール下とも揶揄(やゆ)される岸田政権の特徴をよく表している決定だ。 来年度から5年間の中期防衛力整備計画での防衛費総額は、約43兆円になる。2027年度には、国内総生産(GDP)比率で2%ほどに増加する。現在の軍事的脅威を考えれば妥当な方針に思える。 だが、よく見ると防衛費本体に加えて、さまざまな関係諸経費が「水増し」された金額だ。ともあれ、歳出改革、防衛費のための財政基金の創出、決算剰余金の活用などでやりくりしても、1兆円ほどの増税が近いうちに必要だというのが岸田首相の考えだ。 「増税」はいまの日本の世論や政治環境の中では、意見の分断を招く最たるものだろう。岸田首相はいまは所得増税を
という主旨の連ツイをクルーグマンが行っている。 A very wonkish and probably too long thread on inflation. Not predictions, but to talk about my sense that we (myself included) have been working with the wrong model given the current situation 1/ Most policy-oriented macro ppl entered the pandemic using what we might call a core inflation Phillips curve — inflation depending on slack, but with volatile stuff carved out. A
というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「(Un)Conventional Monetary and Fiscal Policy」で、著者はJing Cynthia Wu(ノートルダム大)、Yinxi Xie(カナダ銀行)。 以下はその要旨。 We build a tractable New Keynesian model to jointly study four types of monetary and fiscal policy. We find quantitative easing (QE), lump-sum fiscal transfers, and government spending have the same effects on the aggregate economy when fiscal policy is fully ta
ここで紹介したように今年のノーベル経済学賞を巡る話で論敵となったクルーグマンとアダム・トゥーズが、賃料インフレを巡る話でサマーズにまとめてボコられている。 There are important issues with regard to the residential component of inflation but the Team Transitory doves substantially overstate their case. 1/N As we stressed 8 months ago, residential inflation is crucial to understanding the evolution of key government price indices. The lags between private sector and governmen
政府税制調査会で、消費税を将来的にアップすべし、という発言が委員の中で相次いだという報道があった。日本経済の先行きが不透明の中で、増税の方針だけは一歩も譲らないという政府税調の異様な執着がわかる発言だ。 「ザイム真理教」という財務省の増税主義を表現する言葉があるが、まさに適切だ。日本経済の先行きが不透明な中で、増税よりも国民生活の立て直しが何よりも最優先するのは常識でもわかる。経済を低迷させる増税議論をする暇はない。税金の無駄なので、増税議論をしたい政府税調メンバーは、即刻退場願いたいところだ。 多くの国民は、「将来世代に負担を負わせない」「国民1人当たりの借金は1000万円以上」という財務省の宣伝を真剣に取っているかもしれない。しかし、これらの財務省の主張はすべて疑わしい。 政府の国債発行残高は、国と地方合わせると約1200兆円である。この数字だけみて「借金すごい!」と危機感を抱くのが、
ここで紹介したエントリを敷衍する形で、マンキューがFRBの引き締め過ぎへの懸念をまとめたエントリを起こしている。以下はその概要。 まず、以下の2点についてはタカ派に同意。 金融財政政策の担当者が最近のインフレ高騰に一部責任があるというのには同意。マンキュー自身、2021年2月のNYT論説で経済過熱について警告していた。 それなりの金融引き締めが必要ということにも同意。特に財政政策の担当者が総需要を減らす手助けをほぼ行っていない状況ではそう。学生ローンの免除は逆方向だし、いわゆるインフレ抑制法も役に立たない政治的煙幕に過ぎない。 問題は、どの程度の金融引き締めが必要か、ということ。この問題は難しく、その答えを確かに知っている、という人は自分もしくは他人に対して正直でない。これが難しい理由は、金融政策が顕著なラグを以って効くからである。最近のFRBの引き締めがインフレにまだ効果をあまり発揮して
少し前にこことここでクルーグマンの連ツイを紹介したが、そこで示された彼のインフレへの見方をまとめたNYT論説にサマーズが猛反発し、ツイッターで以下のように反駁した。 I am disappointed by the tendentious & selective analysis of team transitory acolytes who keep finding new arguments for their conclusion that inflation is @ to subside & policy should be dovish. I focus on @paulkrugman because he is so clear & smart. 1/N nytimes.com Opinion | Wonking Out: What’s Really Happening to
2022年ノーベル経済学賞受賞者が10月10日に発表され、ダイアモンド、ディビッグ、バーナンキの三人が受賞したことはすでに旧聞に属する。その受賞理由は、銀行が持つ本質的な不安定性についての理論と、銀行破綻が恐慌のような形で実体経済に影響する方法の解明だ。 さて、ノーベル経済学賞は毎年発表されるたびに「なんであいつなんだ」、「あいつにやるならこいつにもやるべきだ」、「こいつを先にすべきだった」といったグチが飛び交う。だが個人的な印象として、2022年は特に呪詛や罵倒が多かったように思う。そしてそのほとんどは、ベン・バーナンキに対する呪詛だった。 バーナンキの理論は、銀行部門の破綻が実体経済になぜ波及するかをめぐるものだ。それは銀行融資の縮小と資産価格下落の悪循環を通じて起こる。その理論家としての実績もさることながら、彼はアメリカのFRB議長として、自分の理論の持つ含意をリーマンショック/世界
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