小さな子どもの性同一性障害が日本でも親や学校関係者の関心を集めつつあるが、性的マイノリティー(LGBT)に友好的で、さまざまな支援もあるカナダには、76年から40年近くにわたって子どもの性同一性障害の治療と研究に取り組んできた医療施設「トロント大学付属中毒および精神保健センター」(CAMH=キャムエイチ)がある。これまでに800人以上の診療実績があるこの施設を訪ねた。【丹野恒一】 ◇トロント大で心理療法 性別の違和感軽減 「子どもの性同一性障害」と一言で言っても、小児期(12歳以下)のものは青年期(13〜18歳)以降とはやや異なる特徴がある。CAMH教授で、子どもの性同一性障害の世界的権威でもある心理学者のケネス・J・ズッカー博士(61)がこう解説してくれた。 「青年期以降は、性別への違和感が既に固定されてしまっている。だが、12歳以下でCAMHに来た子どもを追跡調査したところ、大人になっ