数学や英語、古典といった勉強が大嫌いな私にとって、副教科は学校生活において最高の気分転換だった。 そもそも副教科のほとんどは美術で占められていた為、3年生にしてようやく始まった家庭科の授業はクラス中が楽しみにしていた。 家庭科の先生は笑顔のかわいい温和な女性で、私は彼女のことをすぐ好きになった。 家庭科室に集められた私たちに先生は言った。 「今からみなさんには結婚をしてもらいます」 皆が口を開けぽかんとしている様子を楽しみながら彼女は続けた。 「クラスでこの人となら添い遂げられる、という人を見つけパートナーになって下さい。パートナーが見つかったら私の所に来てください。」 思春期真っ只中の我々になんという事を言い出すのだこの人は。通常ならキャーと叫び声をあげ、どの男子と結婚するかとガールズトークに花が咲くところだろうが私のクラスは9割が女子だった為、各自パートナーはすんなりと見つかった。 私